米シリコンバレーで、一部の創業者や投資家が喫煙を非公式なネットワーキングの手段として使っている実態が浮かんでいる。健康管理や生産性を重視する土地柄とは逆行する動きだが、一服を共にする時間が仕事上の緊張を和らげ、率直な会話につながる場合があるという。
米Business Insiderが17日(現地時間)に報じた。Revamp AIの共同創業者、スティーブン・キャンベル氏は、中国・深センの大手テクノロジー企業の関係者と会った後、食事や酒席に加え、喫煙の場を共にしたことで関係が深まったと語った。
同氏は、従業員の一部についても、たばこを吸いながら交わした会話が採用のきっかけになったと明らかにした。ただ、喫煙そのものが契約や採用を直接決めたわけではないとも説明している。
ほかの投資家からも似た証言が出ている。Zeno Venturesのジェイク・ジョリス氏は、喫煙する創業者の一部について「投資家受けを過度に狙わない姿勢が見えた」と話した。
一方で同氏は、喫煙を投資判断上のプラス要因とみなしたり、喫煙者を意図的に探したりしているわけではないと強調した。暗号資産業界出身の創業者の1人は、マイアミのバーで投資家と喫煙しながら事業の話をした後、1週間で出資を受けたとされる。
こうした例は、米国全体で進む喫煙率低下の流れとは対照的だ。米疾病対策センター(CDC)によると、成人の喫煙率は1966年の40%超から、2022年には11.6%まで下がった。
テック業界では電子たばこやニコチンパウチの普及が進む一方で、一部の創業者にとって紙巻きたばこは、健康志向や効率重視の文化に同調しない姿勢の表れとして受け止められているという。
業種ごとの差を指摘する声もある。Argos Researchの共同創業者、ハサン・イスマイル氏は「ハードテックや防衛産業の創業者の間では、喫煙者が比較的目立つ」との見方を示した。
もっとも、こうした見方はいずれも個人の経験に基づくもので、シリコンバレー全体で喫煙が再び広がっていることを示す統計があるわけではない。