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人工知能(AI)の普及に伴い、電子廃棄物の増加が深刻化する可能性がある。非営利団体のBasel Action Networkは、AI関連の電子廃棄物が2025〜2050年に3億9500万〜6億1700万トン増える可能性があるとする試算を公表した。サーバーやグラフィックス処理装置(GPU)だけでなく、データセンターを支える電力設備や冷却設備、ネットワーク機器まで含めて算定した点が特徴だ。

米ITメディアのThe Vergeが9月16日(現地時間)に報じた。

今回の試算では、AIインフラの定義を従来研究より広く設定した。これまでの研究は主にデータセンター内のサーバーとGPUに焦点を当ててきたが、Basel Action Networkはこれに加え、運用に必要な電力供給・配電設備、冷却システム、予備電源、ネットワーク機器も対象に含めた。

さらに、AIの高度化によって更新サイクルの短期化が見込まれる通信インフラや個人向け機器も分析対象に加えた。AIモデルやサービスの進化に伴い、データセンター内部の機器だけでなく、周辺インフラや関連機器でも早期更新が進む可能性があるとみている。

同団体によると、この範囲で試算した場合、データセンター容量(1GW)当たり約7万トンの電子廃棄物が発生する可能性がある。報告書では、McKinseyが2030年の世界のデータセンター容量を最大219GWと見込んでいる資料も引用した。

その結果、AIインフラが急拡大した場合、2050年ごろまで年860万〜1310万トンの廃棄機器が新たに上積みされる計算になるという。

Basel Action Networkの創設者で最高戦略責任者のジム・パケット氏は、「AIは無形の技術のように見えるが、実際には大量の高度に特殊化されたハードウェアに依存している」と指摘した。そのうえで、企業や政府がAIインフラ拡大に伴う廃棄物問題に備えなければ、既存の有害廃棄物問題をさらに悪化させる恐れがあると説明した。

電子廃棄物の処理体制もすでに逼迫している。報告書によると、世界で毎年発生する電子廃棄物は約6830万トンに上る一方、正規に回収・リサイクルされるのは4分の1未満にとどまる。

残る多くは非正規の回収・処理ルートに流れる。その過程で焼却や埋め立てが行われ、鉛やクロムなどの有害物質に作業者や周辺環境がさらされる恐れがあるとしている。

報告書は、米国の電子廃棄物処理の課題にも言及した。米国は世界有数のデータセンター保有国だが、有害廃棄物の国際取引を制限するバゼル条約をいまだ批准していない。

このため、米国内のリサイクル事業者が電子廃棄物を海外に輸出し、それが非正規の「裏庭リサイクル」に流れる可能性もあるという。世界保健機関(WHO)は、こうした非公式な電子廃棄物リサイクル現場の周辺で働く、または生活する数百万人の子どもが健康リスクにさらされ得ると報告している。

Basel Action Networkは、世界全体の電子廃棄物も今後さらに増えると見込む。2050年には年間発生量が最大2億1100万トンに達し、現在の約3倍になる可能性がある。このうちAI関連廃棄物の比率は15〜20%に達するとの見方を示した。

今回の推計が従来研究を大きく上回った背景には、分析対象の違いがある。同団体は、これまでの研究ではデータセンターの電気・機械インフラの約87%が分析から外れていたと説明した。

実際、従来研究の推計値はより小さい。2024年に公表された研究では、2030年にAIが生み出す電子廃棄物は120万〜500万トンと推定された。今年2月に公開された別の研究でも、2020年代後半にAIサーバーが年間13万1000〜22万5000トンの電子廃棄物を発生させる可能性があると分析している。これはデンマーク1カ国の電子廃棄物発生量に近い規模だという。

今回の報告書は、AIの環境コストをGPUやサーバーの更新だけで測るのは不十分だと指摘する。データセンター増設に伴う電力・冷却・ネットワークインフラに加え、AI普及によって更新前倒しが起こり得る関連機器まで含めて評価すべきだとしている。

AI産業がデータセンター投資と計算能力の拡大を続けるなか、機器の回収・リサイクル、廃棄物処理インフラ、国境を越える電子廃棄物移動の管理を一体的に整備する必要性が改めて浮き彫りになった。

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