ドイツでは、ファミリーオフィスや資産運用業界を中心に暗号資産の普及が加速している。一方、英国では規制整備がなお途上にあり、市場形成は初期段階にとどまっている。Cointelegraphが17日、CoinSharesの見解として報じた。
CoinSharesの暗号資産リサーチャー、ルーク・ノーラン氏は、ドイツのデジタル資産市場について、若年層の投資需要に加え、資産運用業界を通じた広がりが鮮明になっていると評価した。
ノーラン氏によると、ファミリーオフィスや資産運用会社、アドバイザーを通じて「非常に良い進展」が見られている。相続で資産を承継した若い世代が、投資先としてデジタル資産に目を向けていることが、市場拡大を後押ししているという。需要は個人投資家にとどまらず、資産運用業界全体へ波及しているとみられる。
制度面でも、ドイツは欧州内で先行している。欧州証券市場監督局の暗号資産市場規則(MiCA)登録簿によると、16日時点でドイツの認可済み暗号資産サービス提供事業者は89社に上り、全体の25.5%を占めた。6月時点でも、MiCAの認可を受けた暗号資産企業は57社と、EU内で最多だった。
こうした流れは大手銀行にも広がっている。Deutsche Bankは16日、欧州の機関投資家向け暗号資産カストディサービスの立ち上げに向け、規制当局の承認を待っていると発表した。認可は10月中に下りる見通しとしている。これに先立ち、ドイツ最大の州立銀行LBBWは2024年4月、オーストリアのBitpandaと提携し、機関投資家向けの暗号資産カストディサービスを開始している。
一方の英国について、ノーラン氏は規制整備が進む一方で、市場形成はなおこれからだとの見方を示した。同氏は「英国は依然として大きく遅れている」と述べ、金融行為監督機構(FCA)が暗号資産の上場型連動商品に対する禁止を解除してから、まだ1年もたっていないと指摘した。英国のデジタル資産市場は、なお「初期段階」にあると評価した。FCAは2021年1月、これら商品の個人投資家向け販売を禁止していた。
英国では足元で、規制枠組みの具体化が進んでいる。FCAは16日、新たな規制体制の下で、どの暗号資産関連活動が認可対象となるかを示す最終ガイダンスを公表した。ライセンス申請の受け付けは9月30日に始まる。新制度の施行日は2027年10月25日で、移行措置の適用を希望する企業は2027年2月28日までに申請する必要がある。
監督と執行も並行して進めている。FCAは17日、ロンドン市内3カ所で違法な個人間の暗号資産取引を仲介した疑いがあるとして、停止命令書を送付したと明らかにした。英国議会は2月、デジタル資産をFCAの監督対象に含める規定を承認しており、6月には関連規定とガイダンス一式を確定している。
ドイツと英国の差は、制度導入のスピードと市場参加者の広がりに表れている。ドイツではMiCAの枠組みの下、サービス事業者に加えて銀行の参入も進む。これに対し英国は、規制の整備と違法取引への対応を並行して進めている段階だ。欧州の暗号資産市場を巡っては、制度運用の進み具合が今後の市場拡大を左右しそうだ。