Lucidとモビリティ企業Boltは、欧州で自動運転EVを少なくとも2万5000台投入する計画を明らかにした。両社は次世代ミッドサイズプラットフォームをベースに車両を共同開発する方針で、NVIDIAの「Hyperion」を採用する。もっとも、現時点で具体的な発注や取引はなく、導入時期や投資規模も公表していない。
EVメディアのElectrekなどが17日(現地時間)に報じたところによると、BoltはLucidの次世代ミッドサイズプラットフォームを基盤とする自動運転EVを、自社サービス基盤向けに少なくとも2万5000台導入する計画だ。2035年までに自社プラットフォームで自動運転車10万台を確保する目標の一環として位置付ける。
Boltは、2億人超の顧客と450万人のドライバー、配送パートナーを抱え、50カ国超の850都市でサービスを展開している。車両は自社で保有・運用する方針で、専任組織「Bolt Autonomous Driving Solutions」を通じて車両仕様やソフトウェア、安全要件を定めるほか、運用インフラの整備や都市とのパートナーシップ構築も担う。
投入する車両は、Lucidの次世代ミッドサイズプラットフォームをベースに開発する。両社は、製品企画の段階から自動運転システムの搭載を前提とした車両を共同開発する計画で、目標とする自動運転レベルはSAEレベル4としている。
車両にはNVIDIAの「Hyperion」を採用する。Hyperionは、自動運転に必要な高性能コンピューティング基盤とセンサー構成を組み合わせたリファレンスアーキテクチャだ。
ただし、Hyperionは完成した自動運転ソフトそのものを指すわけではない。両社はレベル4自動運転の実現に向け、別途自動運転技術パートナーと連携する方針を示しており、実際に車両制御を担うソフトウェアの提供企業は明らかにしていない。
Lucidは新設組織「Lucid Technology」を通じて、AIや運転支援、自動運転関連の開発機能を統合し、今回のプロジェクトを進める。Lucidの最高経営責任者(CEO)、シルビオ・ナポリ氏は、シェア型の自動運転モビリティは、自社技術の適用先をコンシューマー向け車両以外にも広げる機会になるとの考えを示した。
Boltの創業者兼CEO、マルクス・ビリグ氏は、欧州の自動運転サービスについて、欧州の道路環境や規制に合わせ、データ、ソフトウェア、車両、運用が一体として機能する形で構築すべきだと説明した。
Lucidが大規模な自動運転車の供給計画を示すのは今回が初めてではない。米国ではUber、自動運転技術企業Nuroとともに、「Gravity」をベースにしたロボタクシー事業を進めている。
公表済みの計画によると、UberとNuroを通じた米国での自動運転車の投入規模は少なくとも3万5000台に上る。米国事業はNuroの自動運転システムを基盤としており、サンフランシスコ湾岸地域とヒューストンでテストが進んでいる。
これに対し、今回のBoltとの提携は米国事業とは枠組みが異なる。欧州では「Gravity」のSUVではなくミッドサイズプラットフォーム車を用い、自動運転システムの基盤にはNuroではなくNVIDIA Hyperionを採用する。
計画通りに進めば、Lucidは米国と欧州で合計6万台超の自動運転車供給計画に関与することになる。
もっとも、今回の提携の前提となるミッドサイズプラットフォームは、まだ商用化されていない。Lucidは8月の事業見直しの過程で、ミッドサイズEVの発売時期を従来の2026年末から2027年下期へ延期している。
Lucidはミッドサイズプラットフォームの開発を継続しており、試作車やパワートレインの検証、生産準備を進めているという。
両社は、Bolt向け自動運転車の具体的な導入時期や投資規模を公表していない。このため今回の提携は、欧州での大規模な自動運転モビリティ展開に向けた長期計画とみられ、実用化の時期はミッドサイズプラットフォームの開発と量産、自動運転技術パートナーの確保、各国の規制対応、運用インフラ整備の進捗に左右される見通しだ。