中国AIモデルは利用が広がる一方、収益面では米AI大手に大きく水をあけられている。写真=Shutterstock

中国のAIモデルは急速に普及しているものの、収益化では米AI大手に大きく後れを取っている。Rhodium Groupは、中国AIモデル全体の年間経常収益(ARR)がOpenAIとAnthropicの合計の約1割にとどまると試算した。収益規模に比べ企業価値評価が先行しており、バリュエーションの過熱を懸念する見方も出ている。

17日付のCNBCによると、米調査会社Rhodium Groupは、中国AIモデル全体のARRを約107億ドル(約1兆605億円)と推計した。ARRは直近の月次売上高を年換算した指標。一方、OpenAIは400億ドル(約6000億円)、Anthropicは650億ドル(約9750億円)規模とした。

中国の主要AI企業では、DeepSeekのARRが5億ドル(約750億円)にとどまり、MiniMaxは8億ドル(約1200億円)、Moonshotは10億ドル(約1500億円)と推計された。Z.aiは16日、投資家向けに最新のARRが18億ドル(約2700億円)に達したと明らかにした。

ByteDanceの40億ドル(約6000億円)、Alibabaの24億ドル(約3600億円)を含めても、中国勢の規模はOpenAI単独のARRである400億ドル(約6000億円)に大きく及ばない。

課題は、収益以上のペースで企業価値評価が膨らんでいる点だ。Rhodium GroupはMoonshotとDeepSeekについて、売上高に対する企業価値が足元では割高に映ると分析した。

推定倍率はMoonshotが50倍、DeepSeekが163倍で、OpenAIの34倍、Anthropicの21倍を上回った。

こうした収益と評価の乖離は、主要AI企業を巡る上場機運とも重なる。Anthropicは米市場での上場を進めており、OpenAIはIPO計画を来年に先送りしている。

中国勢でもIPO観測は強い。Moonshotは香港市場で非公開の上場申請を進めたと伝えられ、DeepSeekも上場準備中と報じられている。Moonshotは非公開での上場申請について、市場のうわさや憶測にはコメントしないとしている。

もっとも、Rhodium Groupの分析にも限界はある。今回の推計は今夏までに確保した最新データに基づくもので、中国AIモデルの利用量は今年初めの低水準から足元で急増したという。

Z.aiも年末時点のARR見通しを、従来の24億ドル(約3600億円)から30億ドル(約4500億円)へ引き上げた。

中国AI企業は収益化の手法も模索している。Rhodium Groupは、中国のAI研究所が、外部事業者が自社モデルを活用してサービスを提供する過程で、より多くの売上を取り込む方法を探っていると説明した。

背景には、中国のAIモデルにオープン性の高いものが多いことがある。十分なハードウェアがあれば、開発元を介さずに直接ダウンロードして稼働できるためだ。これに対し、米国のAIモデルの多くは非公開型だという。

AI比較企業Artificial Analysisによると、OpenAIとAnthropicの主要モデルは、タスク当たりのコストも中国モデルを上回るとされる。

Rhodium Groupのパートナー、ローガン・ライト氏は、中国の最先端AI研究所は資金調達力の差から、継続的に規模を拡大することが一段と難しくなるとの見方を示した。そのうえで、中国AI企業は良好な株式市場環境への依存度が高いものの、中国ではそれが歴史的に容易な選択肢ではなかったと指摘した。

また、政府資金は計算能力の拡大などハードウェア整備には寄与してきた一方、最先端AI研究所への直接支援には慎重な可能性があると付け加えた。

上場済みの中国AI企業では、株価変動の大きさも目立つ。Z.ai株は17日午前の取引で5%超上昇し、週初の下落分を一部取り戻した。

香港市場に上場するZ.ai株は夏場に一時3倍超上昇したが、その後は今春の水準まで再び下落した。競合のMiniMaxも、この数カ月はIPO初日の上昇分を維持できずにいる。

中国AI業界では、急増するモデル利用を実際の売上高と持続可能な成長にどう結び付けるかが、主要課題として浮上している。

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