国連はGoogleと連携し、AIで世界の統計データを検索・活用できる統合データ基盤「UN System Data Commons」を公開した。国連各機関に分散する統計データを横断的に連携し、数値の出典確認をしやすくしたのが特徴だ。
米TechCrunchが17日に報じたところによると、新基盤は既存の統計ポータル「UNData」に代わる位置付けとなる。Googleのオープンソース技術を基盤に構築され、利用者は自然文で統計を検索できる。AIが外部データと連携するための標準規格「Model Context Protocol(MCP)」にも対応する。
背景には、AIによる統計検索の精度の低さがある。UNICEFの研究チームが6種類の大規模言語モデル(LLM)を対象に、グローバル開発指標に関する13万3000件超の回答を評価したところ、平均正確度は21.2%にとどまった。回答の約60%は利用可能な数値を示せず、同じ質問を2日後に再度行った場合でも、2回とも数値を提示した回答のうち値が一致したのは半数程度だった。
AI経由で統計にアクセスする需要は増えている。1月1日から9月14日までに、ChatGPTの回答に掲載されたリンク経由でUNICEFのデータサイトを訪れた件数は、前年同期比67%増となった。
国連によると、26機関が同プラットフォームへの参加を表明しており、公開時点では約20機関がデータを提供する。2027年までに、統計データセット全体の80%を連携する計画だ。Google.orgは、インフラ構築に向けて200万ドル(約3億円)の資金と技術支援を提供した。
Googleはあわせて、AIが複数の指標を呼び出し、チャートやレポートの草案を作成する機能も紹介した。一方で、公的統計を用いた場合でも、AIの解釈の正確性まで担保されるわけではない。Googleは、数値の引用や分析結果の公表に先立ち、人が原データを確認すべきだと強調している。