D'CENTのアプリウォレットで大規模なXRP流出が発生した。画像=Reve AI

暗号資産ウォレットサービス「D'CENT」のアプリウォレットで大規模な不正流出が発生し、1552人の利用者から計200万9321XRPが流出した。攻撃は約2時間5分にわたり、自動化スクリプトを使って複数のウォレットからXRPを引き出したとみられる。流出資金の一部は取引所やクロスチェーンブリッジに移されており、秘密鍵がどの経路で漏えいしたかはなお判明していない。

ブロックチェーンメディアDecryptが17日、現地時間15日16時29分から18時34分まで攻撃が続いたと報じた。流出したXRPの価値は280万ドル超、約4億2000万円に相当するという。

被害はソフトウェア型のD'CENTアプリウォレットに集中した。D'CENTは発生から数時間後、利用者に対し、保有資産を直ちに別のウォレットへ移すよう呼びかけた。一方で、現時点ではハードウェアウォレット自体に起因する影響は確認されていないとしている。

オンチェーン分析によると、攻撃は大きく2段階で進行した。第1段階は16時29分に始まり、残高10XRPのウォレットから9XRPを新たなアドレスへ移した後、約14分間で204件のウォレットから計1万9787XRPを抜き取った。

ただ、当初の自動化スクリプトはXRP Ledgerの準備金ルールを十分に織り込めていなかった。XRP Ledgerでは口座の基本準備金に加え、トラストラインなどの追加オブジェクトを持つ場合には追加準備金が必要になる。この計算が不十分だったため、一部のウォレットでは資金の全額引き出しに失敗した。第1段階での失敗は72件だった。

その後、攻撃者は手口を修正した。自動化スクリプトは約33分間停止し、この間に4万2000XRP超を保有する上位12ウォレットから資金を手動で移動した。送金は10〜30秒間隔で進み、17時13分までに特定の新規アドレス1件へ73万954XRPが集まった。これは流出総額の3分の1超に相当するが、その後このアドレスから追加の移動は確認されていない。

17時17分には、修正済みの自動化スクリプトが再稼働した。口座ごとの追加準備金まで計算するよう変更され、攻撃者は18時34分までに1336件のウォレットから計125万8563XRPをさらに盗み出した。処理速度は1分当たり約17.6アカウントに達した。

標的の選び方にも特徴があった。攻撃順はウォレット残高よりも、ウォレットの作成順との相関が高かった。分析では、攻撃順とウォレット作成日の相関係数が0.65だったのに対し、残高との相関係数は0.09にとどまった。

このため、攻撃者がリアルタイムでXRP Ledgerを検索して高残高ウォレットを選別したというより、事前に確保していたウォレット一覧を一定の順序で処理した可能性が高いとみられる。ただし、レジャー記録だけでは、1552件のウォレットの秘密鍵をどのように入手したかまでは特定できない。

マネーロンダリングは攻撃の最中から始まっていた。第2段階が進行していた18時25分には、71万9000XRP超が新たなアドレスへ移された後、小口に分散された。6000XRPずつ11回に分けて送られた一時アドレスは、直ちに別の洗浄ハブへ集約されたという。こうした資金移動は約4時間続き、流出資金の一部が20時18分にBinanceへ到達したことも確認された。

16日未明には、11万8400XRPがクロスチェーンブリッジサービス「Bridges」を通じて10回に分けて移動した。5時30分ごろには、現金化を目的とみられる複数のウォレットが別の洗浄ハブに整理された。

特に注目されるのは、この洗浄ハブが今回の攻撃のために新規作成されたアドレスではなかった点だ。同アドレスは8月9日にKuCoinの出金過程で生成され、すでに136万XRP超の類似資金移動に使われていたという。今回が初めての洗浄ではなく、既存インフラを使った大規模攻撃だった可能性を示している。

被害ウォレットの大半は、2021年から2023年に作成された長期利用者のアカウントだった。被害一覧で最も新しいものでも2024年3月作成で、それ以降の新規ウォレットは確認されていない。

初回の資金流入経路からは、韓国国内の利用者基盤をうかがわせる特徴も見えた。Binanceは全被害ウォレットの約15.7%に初期資金を供給した取引所として最多だったほか、Coinone、Upbit、Bithumbで有効化されたアカウントも全体の4分の1近くを占めた。

流出後も、資金の相当部分は攻撃者の管理下にあるとみられる。16日時点では、盗まれた約200万XRPのうち約180万XRPが攻撃者管理のウォレットに残っており、取引所やブリッジサービスへ移されたのは約23万6000XRPだった。

D'CENTは現在も、アプリウォレット利用者に対し、保有資産を別の安全なウォレットへ移すよう促している。一方、最大の焦点である秘密鍵の流出経路は依然として特定されていない。

確認済みのオンチェーン記録からは、攻撃者が資金をどのように移動、洗浄したかは追跡できる。一方で、1552件のウォレットの秘密鍵がどの経路で取得されたのかを直接示す証拠は見つかっていない。原因が判明するまでは、侵害経路の特定や追加被害の有無を判断するのは難しそうだ。

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