S&P Globalは、ブロックチェーンセキュリティ企業OpenZeppelinの買収で合意した。伝統的な信用格付け会社が、オンチェーン金融分野の中核技術であるスマートコントラクトの監査・開発基盤を取り込み、デジタル資産市場向けの評価機能を強化する動きとなる。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが17日付で報じたところによると、OpenZeppelinはブロックチェーン関連の金融ソフトウェア開発とセキュリティ監査を手掛ける企業。同社のオープンソースライブラリ「Contracts」は、DeFiプロトコルやトークン化資産の開発で使われるスマートコントラクトの基盤として活用されている。
S&P Globalによれば、このライブラリは累計37兆ドル超の価値移転を支えてきた。OpenZeppelinはまた、デジタル資産市場のプロトコルや機関投資家向けに900件超のセキュリティ業務を実施し、本番稼働前に1万件超の脆弱性を発見したとしている。
今回の買収により、S&P Globalは既存のデータ・評価事業をオンチェーン市場へ広げる。S&P Global Ratingsのヤン・ル・パレック社長は「当社のデジタル資産戦略は、市場がオンチェーンへ移行する中で、信頼できるデータとベンチマーク、透明性の高いリスク評価を提供することに重点を置いている」とコメントした。
その上で、OpenZeppelinの技術力はスマートコントラクトと技術リスク評価の既存事業を補完するとの見方を示した。
買収後も、OpenZeppelinの事業運営に大きな変更はない。S&P Globalは、同社を現行の社名のまま独立した事業部門として運営するとしている。
共同創業者のデミアン・ブレナー氏は最高経営責任者(CEO)に留まり、ル・パレック氏の下で事業を率いる。
開発者向けエコシステムの中核資産も維持する。OpenZeppelinは「Contracts」ライブラリについて、今後もオープンソースとして無償公開を続け、GitHub上で管理すると強調した。
既存のセキュリティ監査、エンジニアリング業務、エコシステムプログラムも、現在のチームが継続して担う。
ブレナーCEOは、OpenZeppelinが10年前に、安全なグローバル金融システムをブロックチェーン上のスマートコントラクトで実現するという構想の下で設立されたと説明。S&P Globalに加わることで、同社のチームとコミュニティが築いてきた標準が、次世代のグローバル金融基盤となる後押しになるとの認識を示した。
市場の反応は限定的だった。S&P Globalは買収金額や取引総額を明らかにしておらず、今回の買収が同社業績に重大な影響を及ぼすことはないと見込んでいる。
取引完了には通常の条件充足が必要となる。米株市場の時間外取引では、S&P Global株は1.04%高の411ドルだった。
今回の買収は、S&P Globalが進める直近の外部成長戦略とも重なる。同社はデータセンター調査企業DatacenterHawkに加え、ナイジェリアのAgusto & Companyの過半数取得も進めている。
今後の焦点は、今回の取引が必要な承認を得られるかどうかと、S&P GlobalがOpenZeppelinのセキュリティ能力をオンチェーン市場向けの新たなリスク評価商品にどう結び付けるかに移る。