Tossは、顔認証決済サービス「FacePay」の拡大施策を継続する。9月17日には、釜山国際ロックフェスティバルでFacePayを体験する参加者の募集を開始した。対応端末が50万台に迫る中、決済額を50%割り引く記念キャンペーンも別途予定している。
同社は9月17日から25日まで、「ペペ先発隊」として30人を募集する。選ばれた参加者は、10月2日から4日に開催される「2026 釜山国際ロックフェスティバル」でFacePayを使って実際に決済し、関連コンテンツを制作する。
FacePayの対応端末は現在、50万台到達が目前という。これを記念し、FacePayの決済額を50%割り引く別のキャンペーンも準備している。釜山国際ロックフェスティバル向け施策とは別枠で、実施時期は未定だ。
「ペペ先発隊」には、最大5万ウォン(約5200円)相当のFacePay割引クーポンを提供する。第1弾では3万ウォン(約3100円)分の割引クーポンとTossの特別グッズを配布し、第2弾では2万ウォン(約2100円)分の割引クーポンを追加で受け取れる。
イベント期間中にリール動画を投稿すると、最大特典を受けられる。当選者は28日に発表する。
釜山国際ロックフェスティバルは、2000年に始まった国内最長のロック音楽フェスティバル。2024年は3日間で約6万人を動員し、過去最多の観客数を記録した。文化体育観光部が選ぶ「2024 最優秀文化観光祭」にも選定されている。
Tossは、来場者の多い大型イベントでFacePayの決済体験とコンテンツ制作を組み合わせ、利用者とのオフライン接点を広げる方針だ。実際の利用体験をベースにSNS投稿を促すことで、FacePayへの認知拡大につなげる狙いがある。
◆決済手順を巡る懸念に説明
今回の参加者募集は、FacePayの決済手順を巡る懸念が浮上しているタイミングで始まった点でも注目される。ただ、Tossによると、釜山国際ロックフェスティバルとの協業や今回のプロモーションは以前から準備していたもので、最近の問題への対応として急きょ企画したものではないという。
FacePayを巡っては、ソウル市内のカフェで客が決済を試みた際、近くにいた従業員の顔が先に認識され、その従業員のアカウントで支払いが行われたとする事例が、オンラインコミュニティや報道を通じて広まった。これを受け、安全性への懸念が出ていた。
これに対しTossは、顔認証技術が別人を誤認した事案ではないとの立場を示している。同社関係者によると、当時は従業員が客の横で決済を手伝っており、その過程で従業員の顔が先にカメラの前を通過した後、客が顔を近づけたという。従業員自身も、自分のアカウントで決済されたことを認識していなかったと説明した。
一方で同社は、当時の決済画面などの詳細確認は、利用者が「安心補償」を申請した場合に限られると説明する。今回はその申請が受理されておらず、事後確認には限界があるとしている。利用者が希望すれば二段階認証を設定できるほか、不正決済などの被害を補償する「安心補償制度」も運用しているという。
◆体験施策と対応網拡大を継続
Tossは今後も、FacePayの認知拡大に向けた施策を継続する方針だ。
具体的には、利用者が実際にFacePayを試せる体験型マーケティングと、決済可能な加盟店・端末の拡充を並行して進めている。割引キャンペーンを通じて初回利用を促しつつ、利用先も広げる考えだ。
決済手順を巡る懸念には説明を尽くしながら、利用者の受け止め方の改善とサービス拡大を同時に進める従来戦略を維持する姿勢を示した形だ。
Toss関係者は「FacePayは、便利でシームレスな体験の提供を目指している」とした上で、「こうした体験に対する認識改善も必要であり、サービスは今後さらに拡大していく段階にある」と述べた。