OpenAIでCodexの開発者体験を担当するエリック・プロベンチャ氏が、GPT-6 Astraの登場を受け、コーディングエージェント向けのプロンプト設計を見直す必要があるとの考えを示した。モデルの性能向上に伴い、これまで有効だった細かな指示や長い説明が、かえって作業の妨げになる場合があるという。
同氏は「以前はモデルに意図した動きをさせるために、多くの説明や工夫が必要だったが、今は違う」と説明した。その上で、「GPT-6 Astraのような高性能モデルでは、従来は効果的だったガイドラインが、むしろ作業の邪魔になる可能性がある」と指摘した。
例として挙げたのが、特定の作業やプラグイン利用時の手順をMarkdownファイルにまとめておく「スキル」だ。プロベンチャ氏は、スキルを増やせばエージェントが賢くなるわけではないと強調する。
各スキルの名称や説明はモデルのコンテキストに読み込まれるが、説明が長すぎたりスキル数が多すぎたりすると、Codex側で内容が圧縮される。その結果、モデルがどのスキルを選ぶべきか判断しにくくなるという。
スキル間で指示が競合する点も問題だ。特定のスキルを必ず使わせようとする説明が増えると、実際の作業とは無関係な指示まで呼び出されるおそれがあるとしている。
同氏は、スキル設計の原則として3点を示した。第1に、説明は「いつ使うか」だけを短く明確に書くこと。第2に、記述の中へすべての情報を詰め込まず、必要に応じて下位文書を参照する形にとどめることだ。
スキルの内容を過度に読ませるほど、利用可能なコンテキストが圧迫されるためだという。
第3に、マニュアルのように細かく書き込みすぎないことも挙げた。モデルは曖昧な状況でも理解できるため、具体的すぎる指示はかえって妨げになり得るとの見方を示した。
同様の考え方は、AIコーディングエージェントに対してリポジトリ内での作業方法を示す「AGENTS.md」にも当てはまるという。AGENTS.mdはリポジトリで作業するたびに自動的に参照されるため、そこに記した指示が本当に必要かを改めて見直すべきだとした。
例えば、単純なタイプミスを1件修正するだけなのに、リポジトリ全体を読むよう求めるのは過剰だと指摘する。
プロベンチャ氏は「GPT-6 Astraは、そうした指示がなくても、何を見ればよいかを自ら判断できる」と説明した。さらに、テストを実行して結果を確認するよう求める指示も、以前は必要だったが、現在はモデルが自律的に行うため、同じ指示が不要なテスト実行につながる場合があると述べた。
同氏によると、権限の境界設定についても見直しが必要だ。従来は、モデルが許可なく作業を進めてしまうケースを防ぐため、「まず確認せよ」といった強い文言を盛り込むことが多かった。しかし、GPT-6 Astraでは判断力が大きく向上しており、より広い裁量を持たせられる段階にあるとの認識を示した。