写真=Tesla

Teslaの無人ロボタクシー「Cybercab」を巡り、米道路交通安全局(NHTSA)が調査に乗り出した。一般客向けの運行開始直後で、ハンドルやブレーキペダルを備えない車両が現行の連邦自動車安全基準にどう適合すると判断したのかが焦点となっている。

9月5日付のArs Technicaなどの報道によると、NHTSAはTeslaに対し、Cybercabが現行の連邦自動車安全基準を満たすとした自己認証の根拠や手続きについて情報提供を求めた。対象は最大1000台のCybercabに関する自己認証プロセスと技術資料だ。

Cybercabは、ハンドルとブレーキペダルを持たない2人乗りの車両。Teslaはテキサス州とフロリダ州の一部都市で展開するロボタクシー配車網に同車両を投入している。

Teslaはこれに先立ち、テキサス州オースティン中心部で数百人のファンを対象に無人のCybercabの試乗イベントを実施。その後、一般客向けの運行を始めた。現在、テキサス州のデータベースにはCybercab 45台がTeslaの車両群として登録されている。

焦点となっているのは、Teslaが追加の連邦規則の例外承認を受けずにCybercabを運行できると判断した点だ。現行の連邦自動車安全基準は、運転者が車両を直接操作することを前提としており、ハンドルやブレーキペダルなどの手動操作装置を求めている。

NHTSAは自動運転車の導入を後押しするため、ブレーキペダルやワイパー、バックミラーなど、運転者のいない車両では不要となる装備に関する8つの基準を見直している。ただ、改定はまだ完了しておらず、現時点では既存の基準が適用される。

このため、従来と異なる設計の自動運転車を運行する企業は、乗客を乗せる前に連邦規則の例外承認を取得してきた。Amazon子会社のZooxは、ハンドルなどの手動操作装置を持たないロボタクシーについて、米政府から初の連邦例外承認を取得しており、今年の運行台数は2500台に制限されている。

これに対しTeslaは、Cybercabは既存の安全基準に適合しており、別途の例外承認は不要との立場を示している。

今回の調査では、Teslaがどのようなデータや手続きを基に、Cybercabが連邦安全基準に適合すると判断したのかをNHTSAが確認する。Jonathan Morrison NHTSA長官は、自動運転車の安全な開発と配備を全面的に支持するとしたうえで、連邦規制当局としてすべての法令が順守されているかを確認する必要があると述べた。

調査は事業運営に影響が及ぶ可能性もある。NHTSAは必要に応じて、自動車メーカーに車両や関連手続きの変更を求めることができるほか、民事罰を含む執行措置を取ることもできる。

実際、Volvo Group North Americaはリコール手続きに関する調査を受けた後、2023年に1億3000万ドル(約195億円)の罰金を支払い、3年間にわたり第三者の監督を受け入れることで当局と合意した。

Ann Carlson元NHTSA代理長官でUCLA環境法教授は、今回の調査について、NHTSAがTeslaに相当な不満を抱いている可能性を示すものだと分析した。Zooxの事例から、自動運転車の開発企業に例外承認手続きを求める当局の姿勢は明確になっているとし、Teslaがこれに従わないのは極めて異例だと指摘した。

Cybercabは、Teslaが描く将来像を象徴する車両でもある。Elon Musk氏はTeslaについて、単なる自動車メーカーではなく、ロボティクスと自動運転車の企業として捉えるべきだと繰り返し強調してきた。

Teslaは長期的に、Cybercabを年数百万台規模で配備する計画を進めている。このため今回の調査は、安全基準への適合性にとどまらず、Teslaのロボタクシー拡大戦略や商用化のペースにも影響を与える可能性がある。

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