米国でAIデータセンターの建設ラッシュが続くなか、中国製の電力機器や光通信機器への依存が新たなサプライチェーンリスクとして浮上している。米政府が国家安全保障を理由に規制を強化すれば、機器の調達難やコスト上昇を通じて、建設の遅れにつながる可能性がある。
CNBCが3日付で報じたところによると、米ビッグテック各社はAIデータセンターに数十億ドル規模の投資を進めている。一方で、変圧器やスイッチギア、バッテリー、光トランシーバーといった基幹設備の調達では、中国の供給網への依存が大きいという。
ドナルド・トランプ米大統領は先月26日、「海外製の大容量電力設備が米国の安全保障を脅かす可能性がある」として、国家非常事態を宣言する大統領令に署名した。これにより米エネルギー省は、安全保障上のリスクがあると判断した電力機器の取引について、制限や条件付けを行えるようになる。
とりわけ、電力網への接続に使う機器で中国依存の大きさが目立つ。ジョンズ・ホプキンス大学のユリ・ドボルキン准教授によると、一部の変圧器とスイッチギアでは中国からの調達比率が約30%に達する。米国のバッテリー輸入でも、中国が40%以上を占めるという。銅や電磁鋼板、バッテリー正極材など、原材料レベルでも中国への依存は高い。
光通信機器でも事情は同じだ。Counterpointによれば、Zhongji InnolightやEoptolinkなどの中国企業が、データセンター向け光トランシーバーの世界出荷量の約3分の2を供給している。仮に米国が輸入を制限しても、CoherentやLumentumなど西側企業が12~24カ月で不足分を完全に埋めるのは難しいとの見方が示された。
電力機器の供給逼迫はすでに始まっている。Wood Mackenzieは今年、米国における電力用変圧器と変電所機器の不足率をそれぞれ15%、8%と試算した。なかでも100MVA超の大型変圧器の不足が深刻だとしている。
こうした状況を受け、Hitachi EnergyとSiemens Energyはそれぞれ10億ドル(約1500億円)を投じ、米国内で変圧器やスイッチギアの生産拡大に乗り出した。AI競争のボトルネックは、先端半導体から、それを支える電力・通信インフラへ移りつつある。