メモリ不足と部材コストの上昇を受け、PCメーカー各社が低価格帯の販売を絞り、高価格帯モデルへ軸足を移している。世界的に出荷台数は減少しているものの、AI PCの広がりを背景に平均販売単価が上昇し、各社の売上を押し上げている。
市場調査会社IDCによると、2026年4〜6月期の世界PC出荷台数は前年同期比4.9%減少した。一方、PC価格は2026年に最大20%上昇する見通しで、出荷減が続くなかでも価格上昇基調は2027年まで続くとみられている。
PCメーカーにとっては、数量減を単価上昇で補えるかが収益維持の焦点となる。足元では、価格上昇によるプラス効果が出荷減の影響を上回っているとの見方が出ている。
米Wall Street Journal(WSJ)によると、HPは4〜6月期のPC部門で出荷台数が前年同期比16%減少した一方、売上高は18%増加した。
他社も同様の傾向を示している。Dellは7月に終了した会計年度第2四半期に、クライアント・ソリューションズ・グループの売上高が20%増加した。LenovoもPC・スマートデバイス部門の売上高が約30%伸びた。
IDCコンシューマーリサーチ部門ディレクターのジテシュ・ウブラニ氏は、「メモリ価格の高騰に加え供給も不足しているため、各社は低価格帯製品の生産を減らし、より多くの資源をプレミアム製品群に振り向けている。プレミアム製品群の方が収益性は高いことが多い」と述べた。
WSJによると、市場ではAI処理向けに最適化したAI PCの比率が高まっている。
PCメーカー各社は、特に企業向けを中心に高まるAI需要が、市場の他領域での需要減を補うと期待しているという。
UBSのデービッド・ボグト氏は、「規制の厳しい業界を中心に、企業は複雑または機微なAI業務を処理するため、オンプレミス型ソリューションを選ぶケースが増えている」と指摘した。そのうえで、PC市場全体の約75%を占める企業向け市場では、AI PC需要が当面堅調に推移するとの見方を示した。