Grayscaleや21Shares、Andreessen Horowitz(a16z)など暗号資産業界の主要プレーヤーが、米国証券取引委員会(SEC)に対し、新たな暗号資産ETF・ETPの審査手続きの迅速化と予見性の向上を求めた。争点は、非公開での事前提出を認めるかどうかに加え、現物型商品のステーキング構造をどこまで許容するかにも広がっている。
暗号資産メディアのDecryptが9月4日(現地時間)に報じたところによると、業界側は、非公開のドラフト提出の容認やSECの回答期限短縮、現物暗号資産商品のステーキング構造の受け入れなどを柱とする意見を示した。
焦点の一つは、新規ETFの審査プロセスだ。SECは新しいタイプのETFを検討するにあたり、AIの活用によって類似した申請が短期間に大量提出される可能性などについても意見を募っている。これに対し業界側は、公開前に申請書の草案を非公開で提出できる仕組みを求めた。
Grayscaleは、こうした手続きによって競合他社による商品の模倣や、類似案件の申請インセンティブを抑えられると主張した。あわせて、SECスタッフが45日以内に回答する運用も求めた。21Sharesも同様の立場で、申請内容が公開されると競合が素早く内容を複製できる点を問題視した。
a16zは、審査期間そのものの短縮に重点を置いた。申請は電子的に提出され、開示フォーマットの多くは標準化されているうえ、商品ごとに繰り返される質問も少なくないため、手続きはさらに効率化できると指摘した。金融市場は現在の審査期間よりもはるかに短い時間軸で動いていることも理由に挙げた。一方で、審査のスピードを高めても、SECの検討の深さを損なうべきではないと強調した。
これに対し、慎重な見方も出ている。Jane Streetは、ETFの早期上場を急ぐ圧力が登録手続きを拙速にする恐れがあると指摘した。その結果、スポンサーが流動性やファンドの設計について、マーケットメーカーの意見を十分に取り込みにくくなる可能性があるとした。あわせて、ETFの立ち上げ時点で少なくとも2社の指定参加者(AP)を置く案も提起した。APはETFの設定・償還を担う。
Charles Schwabは、登録手続き全体を非公開化する案に反対した。スポンサーとSECスタッフが非公開で協議した申請書であっても、登録の発効予定日の少なくとも75日前には公開すべきだとの立場を示した。
ニューヨーク証券取引所は、上場段階のタイムライン運用にも問題があると指摘した。SECスタッフが特定事項を検討している間、取引所に対して上場延期を要請できる一方で、確定した日程が示されない場合があるという。その間に別の取引所では手続きを進められるケースもあり、運用の一貫性と予見性を高める必要があると訴えた。
今回の意見募集では、提出手続きの見直しにとどまらず、現物暗号資産商品の構造自体を変える要望も出た。Multicoin Capitalは、一定の要件を満たすステーキング受領トークンを現物暗号資産ETPに組み込めるよう求めた。一部のスキームでは、このトークンが商品のデジタル資産保有分のほぼ全体を実質的に表象し得るとも主張した。ステーキング受領トークンは、報酬獲得のために預け入れた暗号資産を裏付けとするトークンを指す。
Jito Foundation、Jito Labs、Solana Policy InstituteもMulticoinと足並みをそろえ、SECに対し、現物暗号資産商品でステーキング受領トークンの利用を認めるルール整備を促した。議論の対象は、審査のスピードだけでなく、現物暗号資産ETF・ETPとしてどこまでの構造を認めるかという商品設計の範囲にも広がっている。
SECの意見募集の締め切りは8月31日だった。ただ、締め切り後に受理した意見書も引き続き公開しており、今後の具体的な対応日程は示していない。今後は、審査短縮と公開原則のバランス、さらに商品構造の拡大要求をどう扱うかが焦点となる。