OpenAIの研究現場で、人工知能(AI)の活用が急速に進んでいる。OpenAIが6日に公表した報告書によると、研究者による出力トークン使用量は2025年11月から2026年8月にかけて124倍に拡大した。一般向けAPI料金ベースの1日当たり利用額中央値は600ドルを超え、上位10%では7000ドルを上回った。
7日付のオンラインメディア「GIGAZINE」が伝えた。報告書は、AIが研究開発の現場でどの程度活用されているかを、利用量や運用形態の変化を通じて示したものだ。
利用量の増加は顕著だ。OpenAI研究者の出力トークン使用量は、2025年11月から2026年8月までの間に124倍へ拡大した。一般ユーザー向けAPIの料金に換算すると、2026年8月時点の1日当たり利用額中央値は600ドルを超えた。上位10%の研究者では、1日当たり7000ドル以上に達した。
活用方法も、単純な質問応答の域を超えている。2026年8月時点では、研究者の約70%が4つ以上のAIエージェントを同時に運用していた。複数のAIエージェントに業務を割り振り、並列で研究を進める手法が急速に広がっている。
AIエージェントが担う作業時間も増えている。OpenAIによると、2026年6月にはAIエージェントの稼働時間が人間の作業時間を上回り、8月中旬にはその3.14倍に達した。AIが研究者を補助する段階を超え、投入される作業時間そのものが人間を上回った格好だ。
コード生産量の伸びも大きい。2026年7月のエンジニアによるコード生産量は、2025年以前の平均と比べて7.02倍に増加した。AIの活用領域は、コードの調査・構成、技術支援やレビュー、公開モニタリング、デバッグなどへ広がり、研究遂行と運用の両面を支えている。
もっとも、研究業務の完全自動化にはなお距離がある。人間なら64〜128時間を要する作業のうち、AIが人手を介さず最後まで完了できた割合は16%にとどまった。51%は少なくとも1回の人間の介入を必要とし、26%は作業に失敗、7%ではツールエラーが発生した。長時間に及ぶ業務ほど、完全自律実行には限界が残ることを示している。
OpenAIはあわせて、社内研究向けAIモデルの活用状況の一部も明らかにした。GPT-6 Astraは正式発表前から社内研究に使われていたという。強化学習の推移からは、Astra系モデルを対象とした学習活動も確認されたが、Hugging Face攻撃後には関連する学習活動が減少したとしている。
今回の報告書は、OpenAIが掲げる「AIがAI研究を担う段階」がどこまで進んだかを示す材料ともいえる。OpenAIはこれまで、2028年3月までに「真に自動化されたAI研究者」を実現する目標を示していた。
注目すべき点は、AI利用量の増加だけではない。研究者が複数のAIエージェントを同時に使い、AIが人間を上回る作業時間を担い、コード生産性も大きく押し上げていることだ。一方で、長時間作業の完全自動化にはなお制約が残る。今後は、AIエージェントが人手なしで遂行できる業務範囲をどこまで広げられるかが焦点になりそうだ。