NVIDIAのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、OpenAIの新たな人工知能(AI)モデル「Astra」の公開を受け、「AGIが到来した」との認識を示した。あわせて、次の段階としてGPU40万台が稼働するとの見通しも示し、AI開発を支える計算インフラのさらなる拡張を示唆した。
米Business Insiderによると、フアン氏は6日(現地時間)、X(旧Twitter)でOpenAIチームを祝福する投稿を行い、AstraがNVIDIAのチップで学習されたことを強調した。
フアン氏は投稿で、「ChatGPTからo1、そしてAstraまで4年かかった。AGIが到来した。OpenAIチームに祝意を表する」とコメントした。そのうえで、「次はGPU40万台が稼働する」とも述べた。GPUは生成AIモデルの学習や推論を支える中核半導体として位置付けられている。
OpenAIは4日、Astraを公開した。Astraについて同社は、これまでで最も高性能かつ知的で、アラインメントを高めた最新モデルと説明している。高度な専門業務にも、速度、精度、判断力の面で対応できるとしている。4日から一部顧客向けに提供を始め、その後、有料プランやAPIへ段階的に展開した。
OpenAI経営陣もAstraをAGIと関連付けて言及している。グレッグ・ブロックマン社長は記者との通話で「AGI時代へようこそ」と発言した。将来振り返ったとき、AGIは「まさにこの時期、そしておそらくこのモデルで実現したとみなされるかもしれない」と述べ、自身としては「すでにその段階に来ている」との見方を示した。
一方で、サム・アルトマンCEOはAGIという表現そのものにはやや距離を置く姿勢を見せている。アルトマン氏は最近、ポッドキャスト「Socis」に出演し、AGIを「定義が非常に曖昧な言葉」と評したうえで、「見方によっては、あまり重要でないマーケティング用語にも近い」と語った。経営陣の間でも、AGIを巡るスタンスには温度差がみられる。
今回の発言は、AIモデルの性能競争と半導体サプライチェーンの結び付きが一段と強まっている流れとも重なる。OpenAIのほか、Meta、Anthropic、Googleなどの主要AI企業は、NVIDIAの高性能チップを活用してモデル開発を進めている。OpenAIは、Astraが10万台超のGPUを使った大規模学習を経ていることも明らかにしている。
こうした需要は、NVIDIAの業績にも表れている。NVIDIAが8月に発表した2027会計年度第2四半期決算によると、売上高は962億ドル(約14兆4300億円)と前年同期比106%増だった。このうち、AIアクセラレーターを含むデータセンター事業の売上高は890億ドル(約13兆3500億円)で、前年同期比117%増となった。
フアン氏の発言は、OpenAIの新モデル公開を祝うだけでなく、次世代AIの競争が一段と大規模な計算資源を必要としている現実を映し出している。Astraの投入と追加GPUの拡張計画を背景に、AIモデル開発競争と、それを支えるインフラ競争が同時に加速する可能性がある。