写真=Nissan

Nissanは、米テネシー州のスマーナ工場でAIを活用した自律搬送ロボットの導入を拡大する。部品運搬の自動化によって工場内物流の効率を高め、コストと生産リードタイムの削減につなげる狙いだ。

Business Insiderが9月4日付で報じたところによると、同社はスマーナ工場で自律搬送ロボットの導入を、今年の大規模なコスト削減施策の一つとして進めている。計画が完了すれば、現在はフォークリフトや牽引車の運転担当64人が担っている部品運搬業務の代替を見込む。

導入は今後数カ月にわたり、計6段階で進める。第1段階は年内の完了を予定している。

スマーナ工場では、Nissan Rogue、Pathfinder、Murano、Infiniti QX60を生産している。来年には追加車種の生産も予定されている。

導入するのは、Rockwell Automation傘下のOTTOが手掛ける自律搬送ロボットだ。床面の磁気テープなどに沿って走行する従来型の搬送設備とは異なり、LiDARやカメラ、各種センサーで周囲の人や障害物を検知しながら、自律的に走行する。

最大モデルの搬送能力は約4190ポンド(約1900キログラム)、最高速度は約4.5マイル/時。

現在は、スマーナ工場の車体工程で部品搬送に活用している。フォークリフト運転者がトラックドックから部品を載せた台車を所定エリアまで運ぶと、自律搬送ロボットがその下に入り、約2.5インチ持ち上げて次の作業地点へ引き渡す。作業者は受け取った部品をロボット生産セルに投入する。

Nissanが重視するのは、単純な省人化にとどまらない点だ。自律搬送ロボットは工場の生産設備と接続されており、搬送スケジュールをリアルタイムで調整できるという。

特定の生産セルが停止して部品が不要になれば搬送予定を取り消し、1台の作業が遅れた場合は別のロボットが任務を引き継ぐ。生産状況に応じて、搬送計画そのものを自動で最適化する仕組みだ。

一方、導入にあたっては試行錯誤もあった。Nissanによると、初期段階ではソフトウェアの不具合により、2台の自律搬送ロボットが同じ場所に同時に向かい、工場内で搬送経路の競合が発生した。その後、ソフトウェア供給元とともにプログラムを修正したという。

同社は、ロボットそのものよりも、既存の工場システムや自動化設備との接続の方が難しかったと説明している。このため、自動化システムの統合を担う事業者の担当者が工場に常駐して対応している。

生産ライン停止のリスクに備え、当面は既存の人員と設備も維持する。自動化システムに問題が生じた際に、フォークリフト運転者が直ちに部品を搬送できる代替体制を整えた。

人員の再配置も進める。物流運搬の業務は縮小するものの、対象従業員を解雇せず、工場内の別業務へ移れるよう支援する方針だ。一部の従業員には、産業用ロボットや生産設備に関する教育も提供する。

長期的には、自然減による欠員を補充しないことで人件費を抑制する考えだ。ただ、従業員の受け止めは一様ではなかったという。会社側は自動化導入の約4カ月前から内容を共有していたが、当初は雇用縮小への懸念が大きかったとしている。

今回の取り組みは、Nissanが進める全社的なコスト削減戦略の一環でもある。車両販売とは別に、サプライチェーン、保証、開発費、人件費など、車両生産にかかる費用を幅広く見直している。車両1台当たりの生産時間短縮にも並行して取り組んでいる。

同社は、自律搬送ロボットの導入によってスマーナ工場のコスト競争力を高め、今後の追加車種の生産確保にもつなげたい考えだ。生産性を引き上げ、米国内生産拠点としての競争力強化を目指す。

今後は車体工場に加え、プレス工程でも自律搬送ロボットや自動フォークリフトの適用拡大を検討する。一般組立工程への類似ロボットの導入も視野に入れており、関連プロジェクトは早ければ2027年に始まる可能性がある。

今回の事例は、自動車工場におけるAIとロボットの活用が、生産工程だけでなく部品物流の領域にも広がっていることを示すものといえる。Nissanは、技術の成熟度やコスト、既存生産システムとの統合可能性を見極めながら、自動化の範囲を段階的に広げていく方針だ。

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