中国製EV3車種が、欧州の新車安全評価「ユーロNCAP」で最高ランクの5つ星を獲得した。価格競争力に加え、安全性能の面でも欧州市場で評価を高めつつある。
EV専門メディアのElectrekによると、広州汽車のAION UT、GeelyのE2、Stellantisが販売するLeapmotor B05が、そろってユーロNCAPの5つ星評価を取得した。
今回の結果は、中国製EVの安全性に対する従来の見方を見直させるものとして注目を集めている。ユーロNCAPは、衝突時の乗員保護だけでなく、事故回避性能や事故後の安全、歩行者保護などを総合的に評価する欧州の新車安全評価制度だ。
ユーロNCAPのプログラムディレクター、アレッド・ウィリアムス氏は、中国の自動車メーカーが欧州の消費者が求める高い安全基準に合わせ、継続的に取り組みを進めていると評価した。厳格化された評価基準を積極的に受け入れる姿勢は、欧州の道路でより安全な車両を提供する意思の表れだとしている。
車種別では、Leapmotor B05の衝突保護性能が特に目立った。衝突保護は92%、事故回避は77%、事故後の安全は89%だった。側面バリア試験と側面ポール試験では満点を記録し、センターエアバッグが衝突時の乗員同士の頭部接触を防ぐなど、十分な保護性能が確認された。
自動緊急ブレーキ(AEB)も高く評価された。B05は高速道路や交差点などさまざまな場面で車両を検知し、衝突回避性能を示したほか、車線逸脱防止システムでも高得点を獲得した。歩行者など交通弱者の骨盤・大腿部保護では100%を記録した。
広州汽車のAION UTも、4つの評価分野で高水準のスコアを得た。衝突保護は91%、事故後の安全は88%だった。ユーロNCAPは、搭載する事故回避システムが多くの試験シナリオで良好な性能を示したと評価した。一方で、交差点で車両やバイクを検知する前方監視機能については、相対的な課題として挙げた。
Geely E2は事故後の安全で95%を記録し、3車種の中で最も高い評価を得た。一部市場ではEX2の名称で販売されている。小型の電動ハッチバックながら、乗員保護性能は総じて高水準と評価された。
E2は、走行に関わる主要機能やインフォテインメントの操作系に物理ボタンを適切に配置した点でも評価を受けた。標準搭載された子どもの存在検知機能も加点要素となった。
今回の結果は、中国製EVの欧州市場での競争軸が、価格だけでなく安全性や商品力にも広がっていることを示している。Leapmotor B05はRenault MeganeやVolkswagen Golfなど欧州の主力ハッチバックと競合し、AION UTはMini Aceman、Renault 4、Volkswagen ID. Poloなどを競合モデルとしている。
中国メーカーにとって、ユーロNCAPでの5つ星獲得は、欧州市場でブランドへの信頼を高める重要な材料になり得る。欧州の消費者が価格だけでなく、衝突安全性や先進運転支援システムを重視する中、高評価の獲得は中国製EVに対する認識の改善にもつながる可能性がある。
同時に、米国と欧州の自動車安全評価基準の違いを巡る議論も改めて関心を集めている。ユーロNCAPは、米国の一部の安全評価制度と比べ、実際の事故状況をより幅広く反映しているとされる。欧州と米国の安全基準は必ずしも同一ではなく、一部の衝突試験では欧州車が平均的に高い保護性能を示したとの見方も出ている。
今回の5つ星獲得は、単なる3車種の評価結果にとどまらず、中国製EVの欧州市場での競争力が一段と高まったことを示すシグナルともいえる。価格を武器に攻勢をかけてきた中国メーカーが、安全性も前面に打ち出し、欧州の完成車メーカーと真正面から競い合う構図が鮮明になってきた。