GPT-6 Astraは3D制作やゲーム開発、デスクトップ操作で強みを示した。写真=Shutterstock

OpenAIは9月3日、「GPT-6 Astra」の提供を開始した。初期ユーザーの反応では、3D空間の再構成やゲーム開発、デスクトップ操作で高い評価を集めた一方、文章生成では前モデル「GPT-5.6 Sol」に及ばないとの見方も出ている。

Decryptが6日付で報じたところによると、AstraのAPI料金は入力100万トークン当たり10ドル(約1500円)、出力100万トークン当たり50ドル(約7500円)。GPT-5.6 Solに比べて2.5倍高い。OpenAIはAstraについて、コンピュータ操作やコーディング、研究、複雑な多段階タスク向けに最適化したモデルとしている。

◆3D制作・ゲーム開発で存在感

Astraの中核機能の1つがコンピュータ操作だ。手順を案内するだけでなく、モデル自身がデスクトップ上でマウスやキーボードを操作し、作業を実行できる。

OpenAIによると、OSWorld 2.0テストでは、Astraは一般的なデスクトップ作業の72.6%を1タスク当たり約40分で完了した。GPT-5.6 Solは65.7%を約75分で処理したという。

初期ユーザーの間では、空間認識と視覚理解の高さに注目が集まった。HyperWriteの前最高経営責任者(CEO)で投資家のマット・シューマー氏は、Astraを使ってUnreal Engine上にマンハッタンを街区単位で再現した。マックス・ワインバッハ氏は、Apple Parkの写真を基にBlenderで3Dモデルを再構成した事例を公開した。

匿名開発者のスースー氏は、Webブラウザ上で中国・杭州と周辺地域を24分で3D実装した。西湖や雷峰塔、茶畑、湿地を盛り込み、クリック可能なランドマークや昼夜切り替え機能も加えたとしている。

ゲーム開発の事例も報告された。リシ・プラサド氏は、ブラウザベースのシューティングゲーム「Astral War」を1日で開発した。12人用ロビー、マルチプレイサーバ、コントローラー対応、ボイスチャットを備え、1カ月前に別モデルで作成した成果物より視覚面の完成度が大きく向上したと評価した。

日本のイラストレーター、タイヤキ・サン氏は、自作線画の着彩をAstraに任せた。AstraはCLIP STUDIO PAINT上でレイヤー作成、拡大・縮小、ブラシ選択、着彩までをマウス操作で実行した。この作業は月額100ドル(約1万5000円)のProプランの最大演算モードで行われ、利用枠の21%を消費したという。

音楽分野でも成果が報告された。ニュースレター「Augmented Fifth」を運営するオーギー氏は、バッハ風の4声コラールを作成する非公式テストで、Astraが最高得点を記録したと明らかにした。声部進行の誤りがなく、ナポリの6の和音も含まれていたという。OpenAIの自己評価でも、クラシック譜面の判読性能はGPT-5.6 Solを大きく上回った。

◆文章生成は評価分かれる

一方、文章生成の評価は割れた。ルイ=フランソワ・ブシャール氏は、自身の執筆陣の文体ベンチマークでAstraが1995 Eloの11位にとどまったと公表した。GPT-5.6 Solは2156 Eloで6位だった。同氏はAstraの出力について「驚くほど失望した」と評した。

定量ポートフォリオ運用の著者、ジュゼッペ・パレオロゴ氏は、Astraに最適なポートフォリオ分散のアイデアを求めたものの、回答は定型的で誇張が目立つと指摘し、創造性の面ではなお課題があるとした。インガル・ホーランド氏も、自身の文体を模倣し、AI検知ツールを回避する文章の生成を試したが、検知をすり抜けられなかったと述べた。

外部評価でも同様の傾向がみられた。Artificial Analysisによると、経済的価値のある専門業務を測る「GDPval-AA v2」で、Astraのスコアは約80 Elo低下した。カスタマーサポートや長文コンテキスト推論でも性能は小幅に下がった。一方、総合知能指数はAstraが61.2点で、GPT-5.6 Solの60.9点を上回った。

セキュリティ性能は大きく向上した。OpenAIはAstraを、自社モデルとして初めてサイバーセキュリティの「重大」の閾値に達したモデルに分類した。人間が脆弱性を直接指摘しなくても、未公表のソフトウェア脆弱性を発見し、攻撃手法を開発し得る水準だという。これを受け、OpenAIは高度なサイバーセキュリティ機能を「Daybreak」プログラムに限定した。

AstraはChatGPTのPlus、Pro、Business、Enterpriseユーザーに加え、API、Microsoft Azure、AWS Bedrockを通じて順次提供されている。Enterprise環境では、管理者がアクセス権限を有効化する必要がある。

初期評価を総合すると、Astraは正答の検証がしやすい3D制作やゲーム開発、コンピュータ操作で強みを発揮する一方、文体や嗜好、創造性が問われる文章生成では前モデルを下回る場面もみられる。

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