Anthropicは、Amazon Web Services(AWS)のソウルリージョンでSonnet 5やOpus 5など最新の大規模言語モデル(LLM)を近く提供する。韓国国内でのデータ主権やデータレジデンシー要件への対応を強化し、エンタープライズ市場、とりわけ金融機関向けの展開を加速する狙いだ。
Anthropic Korea支社長のチェ・ギヨン氏は8月27日、「AWS Financial Service Forum Seoul 2026」の基調講演と記者懇談会で、AWS Bedrockを通じてHaiku、Sonnet、Opusを提供していると説明したうえで、「近くAWSソウルリージョンでも最新モデルを利用できるようになる」と明らかにした。
同氏は、ソウルリージョンでの提供開始により、韓国国内のデータ主権やデータレジデンシー要件に対応しやすくなると強調した。ネットワーク分離規制の緩和も追い風となり、韓国の金融業界ではAI導入がこれまで以上に広がるとの見方を示した。
ソウルリージョンの整備によって、データレジデンシー要件を重視する金融規制当局や、セキュリティ要件の厳しい企業でも活用の幅が広がるという。チェ氏は、監査対応などの規制上の理由から、顧客が特定の場所にデータを保存する必要があるケースに触れ、「ソウルリージョン内のセキュリティが確保された環境、例えばVPCに保存できれば、主要な要件の多くを満たしやすい」と述べた。
推論時にデータが海外へ出ることを懸念する顧客にとっても、ソウルリージョンで処理できることの意義は大きいという。チェ氏は「ソウルリージョンで処理すれば、こうした懸念を解消できる。Opus 5のような最新モデルを活用できることは、先端モデルの本格活用を後押しする好機になる」と語った。
同氏によると、韓国の金融会社は他業種と同様、パイロットや概念実証(PoC)の段階にとどまらず、実務へのAI適用を前提に導入を幅広く検討している。AIはすでに経営トップの重要課題となっており、CEOクラスの経営陣が「バイブ・コーディング」の教育を自ら受けるほど関心が高いという。クラウドやデジタルトランスフォーメーションを推進した時期と比べても、経営層の関心ははるかに強いとした。
Anthropic KoreaはAWSとの協業に加え、金融会社向けの支援策にも力を入れる。本社レベルでは、金融業界の従事者が直面するデータや規制対応の課題を支援する「Claude for Financial」を投入している。
もっとも、チェ氏は「Claude for Financial」について、米国の金融慣行が色濃く反映されているため、韓国企業がそのまま利用するのは難しいとの見方も示した。そのうえで、韓国の金融会社と連携しながら、現地市場に合わせた提供に向けた協議を進めていると説明した。
また同氏は、個別のソフトウェア製品を提供するのではなく、モデルを効果的に活用できるよう支援し、モデルを軸に業界別のベストプラクティスを提示することが重要だと述べた。