ヘリウム飛行船「S4000」による空中風力発電の実証試験。上昇から発電、帰還までを完了した。写真=CCTV

中国が、高度4000mの上空で発電し、地上に送電するヘリウム飛行船の実証試験に成功した。試験機「S4000」は上昇から発電、帰還まで一連の工程を終え、上空の風を活用する空中風力発電の実現可能性を示した。

TechRadarは27日、この試験を世界初の事例として報じた。機体の全長はボーイング747に匹敵するとされる。

試験機の名称「S4000」は、到達高度の4000mにちなむ。機体の両側に搭載したタービンで高高度の風を受けて発電し、その電力を長い係留線を通じて地上基地に送る仕組みだ。

狙いは、地表付近より強く安定した上空の風を利用することにある。中国国営放送CCTVによると、S4000は上昇、発電、帰還まで一連の試験工程を完了した。

この高高度飛行船方式は、従来の固定式風力発電機とは異なる運用面の柔軟性も特徴とされる。S4000は必要に応じて風の強い地域へ移動でき、風況の変化や電力需要に応じた位置調整も可能だという。大規模な用地を必要としない点も特徴で、風力発電設備が占有する空間の縮小や、地上設備を巡る負担の軽減につながる可能性がある。

開発には、中国企業のSawes Energy Technology、清華大学、中国科学院傘下の航空宇宙情報研究院が参加した。S4000は単独の試作機ではなく、先行モデルを発展させた機体と位置付けられる。先行機のS1500とS2000は、合計5億元、7430万ドル規模の受注を確保したと伝えられている。こうした実績を踏まえ、S4000についても試験段階にとどまらず、今後の配備拡大が視野に入るとの見方が示された。

今回の成果は、風力発電の進化が大型の地上設備だけに限られないことも示した。同じ週に紹介された携帯型風力タービン「Ventira R1」は、バックパックに収まるほど小さく折り畳める一方、出力50Wをうたう。接続したスマートフォンをフル充電するのに約35分かかるとしている。

S4000の意義は、単なる試験成功にとどまらない。中国は、上空の強く安定した風を活用してメガワット級の電力を生み出す方式を、実機の飛行船で検証した。既存の風力発電が抱えてきた立地や空間面の課題を和らげる代替案を示した形でもある。今後は、実証段階から実際の送電網での運用や大規模配備へ、どの程度の速度で移行できるかが焦点となる。

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