Waymoは、2億マイル(約3億2000万km)を超える完全自動運転の運行実績を基に、レベル4(L4)自動運転AIの開発に関する「10原則」を公開した。カメラのみで自動運転を成立させる方式には限界があるとし、センサー融合、HDマップ、閉ループシミュレーション、独立した安全検証を中核に据える姿勢を鮮明にした。
26日付(現地時間)の電気自動車メディアCleanTechnicaによると、Waymoは安全をあらゆる技術選択の出発点に置く考えを強調した。カメラ、Lidar、レーダーを組み合わせるセンサー融合こそが、大規模な完全自動運転を安全に拡大するうえで不可欠だとしている。
各センサーの役割も明確に整理した。Lidarは高精度な3次元形状の把握、カメラは標識や信号機などの視覚情報の認識、レーダーは雨や霧、粉じんといった悪条件下での物体の速度や動きの追跡を担う。Waymoは、こうした異なるセンサーの組み合わせが冗長性と補完性を生み、単一センサーの弱点を補うと説明した。
HDマップについても、重要な入力情報の1つと位置付けた。地図は車両にとっての「記憶」として機能し、視界が悪い場面や複雑な道路環境で追加情報を与えるという。
また、AIベースのマッピングシステムで地図を継続的に更新することで、迂回路や臨時の停止標識など、リアルタイムで変化する要素への対応に車両の計算資源を集中できるとしている。
AIモデルの構成では、多数の小規模モジュールを並べるより、少数の大規模な基盤モデルを活用する方向へと軸足を移した。一方で、すべての機能を単一のブラックボックスに統合する設計は避けた。
とりわけ、生の映像から直接操舵指令を出す純粋なエンドツーエンド型の構成については、失敗要因の特定が難しく、安全上のリスクがあると指摘した。
その代わりにWaymoは、車載側に独立した検証レイヤーを設ける。このシステムが車両の選んだ走行経路を物理法則と交通法規に照らして再確認し、衝突リスクやルール違反が見つかった場合には、最後の安全網として機能するという。
シミュレーションでは、閉ループ方式を重視する。過去の走行データを単純に再生するのではなく、車両の挙動に応じて周囲の車両や歩行者も反応する形にし、実際の道路に近い相互作用を再現する。
Waymoは、この手法によって希少かつ複雑な状況を繰り返し検証でき、強化学習などにも活用できると説明した。
評価プロセスも開発系とは切り分けて運用する。Waymoは「Waymo Critic」と呼ぶAI評価の枠組みを通じて、公道とシミュレーションの双方で安全性や法規順守に加え、旋回や制動の滑らかさまで点検すると明らかにした。
これは、開発したシステム自身が性能を自己評価してしまう問題を防ぐための仕組みだという。
ビジョン言語モデル(VLM)は、高次の推論を担う役割を持つ。例えば警察官の手信号のように、既存の学習データだけでは判断しにくい状況で意味を解釈するために使う。
ただし、リアルタイム制御には適さないとし、高速に動作するセンサー基盤の制御系と、低速の高次推論を組み合わせる構成を採用した。
Waymoはさらに、走行、シミュレーション、評価を単一の安全ガバナンスでつなぐことが重要だとした。公道走行や利用者・地域社会からのフィードバック、自動ラベリング、再学習、シミュレーション検証を一連の流れとして結び付け、性能を継続的に高める「データ・フライホイール」を構築しているという。
最後にWaymoは、実際の完全自動運転の経験そのものが代替できないデータだと強調した。運転支援レベルのL2技術を高度化するだけではL4には到達できないとの見方を示し、人の監督なしにシステムが全面的に運転責任を負う経験が重要だとしている。
今回公表した原則は、カメラ中心の単一センサー路線ではなく、マルチセンサー、地図、シミュレーション、独立検証を組み合わせる安全重視の戦略を改めて打ち出したものだ。今後、より多くの都市や複雑な走行環境へ拡大していくなかで、実際の安全性と拡張性をどう示すかが焦点となる。