OpenAIが、汎用人工知能(AGI)の実現時期について2026年を視野に入れていることが明らかになった。現時点でAGI到達を宣言したわけではないが、社内では開発が約8割まで進んだとの見方も出ている。
米メディア報道によると、サム・アルトマンCEOは米『Time』のインタビューで、OpenAIはAGIに「完全には到達していない」としつつ、「近いうちにそれに近いバージョンを持つことになる」と語った。
社内でも進展への手応えは強いようだ。研究責任者のマーク・チェン氏は、AGIの実現に向けた開発が現在「約80%」まで進んでいるとの認識を示した。共同創業者のグレッグ・ブロックマン氏も、将来振り返ったときに「今がAGIが初めて姿を現した時点だと見なされる可能性がある」と述べている。
その背景にあるのが、新モデル「Astra」だ。OpenAIは昨年、Astraを自動化された研究支援システムとして紹介した。主任科学者のヤクブ・パチョツキ氏は、Astraが当初の目標水準にすでに達していると主張している。
Astraは、単に質問に答えるAIではなく、実際の研究作業そのものを担うことを目指す。パチョツキ氏によれば、ユーザーが実験課題を与えると、AstraはOpenAI内部のソフトウェア環境で必要なコードを書き、実験を実行し、その結果を取得できるという。
研究論文を入力すれば、1週間以内にその研究課題を実行できるとの説明もあった。人間が各段階で細かく指示しなくても、長期間にわたって自律的にタスクをこなす「持続型エージェント」へ発展し得る点が示された格好だ。
OpenAIがAstraで最終的に見極めようとしているのは、単純な自動化の水準ではない。既存情報の整理や既知の答えの探索を超え、新たな知識を実際に生み出せるかどうかが、重要な評価軸になっている。
アルトマンCEOは顧客向けプレビューイベントでAstraについて、「実際に重要な形で新しいものを発明する最初のモデルになる」と述べたうえで、「それは非常にAGI的な仕事だ」と語った。
この発言からは、OpenAIがAGIを判断する際、自律的なタスク遂行能力だけでなく、新たな発見や発明の力も重視していることがうかがえる。AIが自ら研究を進め、その成果をより優れたAIの開発に生かす循環を思い描いているとみられる。
もっとも、自律研究型のAIがそのままAGIを意味するわけではないとの見方もある。論点となるのは、大規模言語モデル(LLM)ベースのAIが実際に新たな発見を生み出せるのか、また特定分野にとどまらず、多様な領域の課題へ知識を一般化できるのかという点だ。
加えて、AGIそのものの定義が定まっていないことも評価を難しくしている。OpenAIはAGIを「経済的に重要な大半のタスクで人間の能力を上回る高度な自律システム」と定義しているが、研究者の間では判断基準に幅がある。
このため、OpenAIが掲げる2026年のAGI目標は、技術的な進展だけでなく、AGIをどこまでとみなすかという定義論とあわせて評価される見通しだ。Astraが独自に新たな知識を生み出す段階まで進化できるかが、OpenAIのAGI論を占う最大の注目点となりそうだ。