Apple初の折りたたみiPhoneとされる「iPhone Ultra」が、9月9日開催のイベントで公開されるとの見方が強まっている。米ITメディアの9to5Macは、Appleが競合に後れて折りたたみ市場に参入する一方、製品の完成度で差別化を図る可能性が高いと報じた。
今回の製品で最大の注目点は、折りたたんだ状態ではなく、開いた状態でのディスプレイ品質だ。折りたたみスマートフォンでは、内側ディスプレイ中央に残るしわが長年の弱点とされてきた。iPhone Ultraは、このしわの抑制に重点を置いて開発されたとみられている。
流出情報を総合すると、特定の角度や照明条件ではごく薄いしわが見える可能性はあるものの、通常の利用環境ではほぼ気にならない水準に仕上がるとの見方が出ている。
2つ目の焦点は、薄さと性能のバランスだ。折りたたみ端末は構造上、厚くなりやすく、薄型化を優先するとバッテリー容量や放熱、処理性能で不利になりやすい。iPhone Ultraは、こうしたトレードオフの縮小を狙った設計になる可能性がある。
なかでも、昨年登場したiPhone Airが、超薄型の折りたたみ設計に向けた布石だったとの見方がある。
バッテリー駆動時間はiPhone 18 Pro Maxに及ばない可能性がある。ただ、A20 ProとC2チップの省電力性能が向上すれば、物理的なバッテリー容量の制約をある程度補い、実用上十分な電池持ちは確保できるとの予想も出ている。
性能面では、A20 Proに加えてベイパーチャンバーの採用も取り沙汰されている。薄型のフォームファクターでも、安定した処理性能を維持する狙いがあるとみられる。
3つ目の焦点はヒンジだ。ヒンジは折りたたみ機器の耐久性と使い勝手を左右する中核部品で、iPhone Ultraには液体金属が採用されるとの観測が出ている。Appleはこの技術を15年以上前にライセンスしており、当時はiPhoneの軽量化・薄型化への活用が見込まれていた。2010年には、折りたたみ端末開発との関連にも言及されたことがある。
今回は、この技術が製品設計に本格的に反映される可能性があるという。液体金属ベースのヒンジは、耐久性と滑らかな開閉動作の両立を後押しし、長期使用に耐える設計につながるとみられている。折りたたみ製品では、ヒンジの強度や摩擦制御が、画面のしわ、厚み、耐久性と密接に関わるため、Appleがこの領域に注力したとみる向きもある。
こうした動きは、Appleが折りたたみ端末の投入時期を意図的に遅らせてきたとの見方とも重なる。Samsung Electronicsが初の折りたたみスマートフォンを発売したのは2019年で、iPhone Ultraが今年公開されれば、Appleは競合に約7年遅れて市場に参入することになる。
もっとも、Appleはより早い段階で折りたたみiPhoneを投入することも可能だったが、iPhoneに見合う品質水準に達するまで発売を見送ってきたとの観測もある。
市場の視点では、iPhone Ultraは単なる参入製品ではなく、折りたたみ端末の弱点とされてきた要素をどこまで克服できたかを示す試金石になりそうだ。画面のしわ抑制、超薄型構造、ヒンジ耐久性という3つの課題を実機で実現できれば、折りたたみスマートフォン競争の軸が、ハードウェアの完成度へと一段と移る可能性がある。
9月9日のイベントで実機の仕様が明らかになれば、検証の焦点もこの3点に絞られる見通しだ。Appleが画面のしわをどこまで抑えたのか、薄型設計の中でバッテリーと放熱の課題をどう処理したのか、液体金属ヒンジが長期利用でどこまで実用性を高めたのかが、主要なチェックポイントになりそうだ。