写真=Shutterstock/ナトリウムイオン電池は、冷却機構の簡素化も競争力として注目されている

ナトリウムイオン電池が、電力網向けエネルギー貯蔵システム(ESS)の有力な次世代候補として存在感を高めている。低い原材料コストに加え、低温環境への強さや冷却負荷の小ささが評価されており、リチウムイオン電池が主流の蓄電市場に食い込む動きが広がっている。CleanTechnicaが26日(現地時間)に報じた。

強みは、電気自動車(EV)よりも据え置き型の蓄電用途に適した特性にある。ナトリウムイオン電池は、ニッケル・マンガン・コバルト(NMC)系電池に比べてエネルギー密度で劣るため、高性能EVでは不利になりやすい。一方、据え置き型のESSでは事情が異なる。

複雑な冷却システムをほとんど必要とせず、機構の小型化もしやすいため、設置スペースとコストの両面で負担を抑えやすい。リチウムの供給網が中国に集中するなか、米国や欧州ではサプライチェーン多様化の選択肢としても関心が高まっている。

市場予測も拡大方向だ。Morgan Stanley Researchは年初、ナトリウムイオン電池の累積導入ベースの市場シェアが2027年に2%、2030年に20%、2035年には37%まで伸びると試算した。

足元では、2〜8時間放電の分野でリチウムイオン電池が市場の95%を占める。ただ、代替技術が実製品の段階に入り始めたことは、市場構造の変化を示す兆候とみられている。

ESSは、ナトリウムイオン電池を採用した電力網向けの初の設計を2027年に公開する計画だ。ボストンに拠点を置くセル開発企業AlsymのNFPPセルを使い、1.2MWh級の交流連系型蓄電システム「Bridge」をオレゴン州の製造施設で組み立てる。

ESSのランディ・セルレスキ最高事業責任者(CBO)はNFPPについて、「火災リスクがなく安全性が高い点は、ESSが当初から追求してきた特性と一致する」と説明した。ESSは2027年の初期製品投入に続き、2028年末にはエネルギー密度を高めた後続製品も投入する計画という。

同社は今回の参入について、長時間放電向けフロー電池事業を縮小するものではないと説明している。セルレスキ氏は「リチウムが依然として市場の95%を占めている」としたうえで、「従来のリチウムイオン電池の用途と正面から競合できる最初の製品と位置付けている」と語った。

これによりESSは、16〜48時間放電の領域ではフロー電池に研究開発を集中しつつ、中短時間の蓄電市場にはナトリウムイオン電池で対応する二本立ての戦略を進めることになる。

Peak Energyも、2027年半ばから蓄電システム「GS1」の供給を始める見通しだ。同社は、ナトリウムイオン電池のパッシブ冷却構造を中核的な競争力に挙げる。

Peak Energyのブランダン・ケリー最高科学責任者(CSO)は、冷却装置について「可動部品や冷媒、フィルター、ファンが必要で、騒音も大きい」と指摘した。そのうえで、リチウムイオン電池ではこうした設備を受け入れざるを得ない一方、ナトリウムイオン電池はより高温でも寿命を維持しやすいと説明した。

さらに、パッシブ冷却でも20年後に性能を85%維持できるのに対し、リチウムイオン電池は液冷を使っても約65%水準にとどまるとした。

住宅用蓄電システム市場を狙う動きも出ている。カリフォルニア大学サンディエゴ校発のUnigridは、メーカーのSyntropic Powerと組み、米国でNCO電池を生産する方針を決めた。

Unigridのダレン・タン共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は、NCO系電池について「寿命、安全性、出力、コストをすべて備えている」と述べた。Unigridは、中国大手の影響力が相対的に小さい住宅用蓄電市場を足がかりにする考えだ。

コスト構造もリチウムイオン電池とは異なる。Unigridは、ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池に比べて原材料コストの比率が低く、製造コストの比率が高いため、生産工程が確立されれば価格低下の余地が大きいとみている。

タン氏は、現時点では価格がなおリチウムイオン電池を上回るものの、今後5〜10年で急速に下がるとの見通しを示した。

こうした流れを受け、ナトリウムイオン電池は実証段階を超え、商用蓄電市場への本格参入をうかがう局面に入っている。電力網向けでは安全性と冷却コストの削減、住宅向けでは価格低下の可能性とサプライチェーン多様化が、普及を左右する主要な要素として浮上している。

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