気候変動の影響で、世界の10歳未満の子ども約5億6000万人が、毎年少なくとも30日分の追加の熱ストレスにさらされている――。ブリュッセル自由大学(VUB)などの国際研究チームが、こうした分析結果を学術誌「Science Advances」に公表した。The Vergeが報じた。
研究チームは、気温に加え、湿度や風速なども反映する湿球黒球温度(WBGT)に着目した。日陰でWBGTが28℃を超える日を「熱ストレス日数」と定義し、年齢層ごとの熱曝露への影響を分析した。この水準では、熱関連疾患を防ぐため、活動量を減らしたり休息を取ったりする保護措置が推奨されるという。
分析の結果、現在の0〜9歳の43%に当たる最大5億6000万人が、人為起源の気候変動によって年間30日以上の追加熱ストレスを受けていることが分かった。これは同じ条件にさらされる60〜69歳の約1億9000万人のほぼ3倍に当たる。
ここでいう「1カ月」は、年間の累計で30日以上を意味し、連続した30日間を指すわけではない。
影響は、南アジアや東南アジア、西アフリカなどの熱帯の低所得地域に集中していた。これらの地域は、歴史的にみると温室効果ガス排出への寄与が比較的小さい一方、人口構成が若く、冷房設備や医療、住宅インフラへのアクセスも限られる。このため、子どもへの影響が大きくなりやすいと研究チームは指摘した。
今後、温暖化が進めば負担はさらに増す見通しだ。地球の平均気温が産業化以前と比べて1.5℃上昇した場合、追加で1カ月分の熱ストレスを受ける子どもは6億2000万人に達する。2℃上昇すると、その数は6億5000万人まで増えると推計した。
子どもは成人に比べて体温調節機能が未熟で、体が小さいため短時間で体温が上がりやすい。乳幼児は汗腺の発達も途上にあり、脱水や熱中症のリスクが高まりやすい。研究チームは、温室効果ガスの排出削減に加え、冷房へのアクセス拡大、猛暑への対応計画、保健体制の強化を同時に進める必要があると強調した。