中国のAI研究所Z.aiが、匿名で公開されていたコーディングAI「Ox Alpha」の開発元であることが分かった。OpenRouterに社名やロゴを伏せたまま掲載され、大規模なコンテキストウィンドウや無料提供で注目を集めていたが、開発者コミュニティによる検証でZ.aiのGLM系モデルとの一致が相次いで確認された。
海外メディアのCryptopolitanなどによると、Ox Alphaは8月20日、個別の発表がないままOpenRouterに掲載された。その後1週間で、開発者から数百万件規模の利用を集めたという。
Ox Alphaは104万8576トークンのコンテキストウィンドウをサポートし、テキスト、画像、動画を処理できる。最大出力は13万1072トークン。一般的なモデルの対応規模が8000〜20万トークン程度であるのに比べ、大幅に大きい。
モデルは無料で提供された。オープンソースのターミナルエージェント「OpenCode」は同日、Ox Alphaの導入を発表し、1週間は無料提供を続けると明らかにした。1日当たり100兆トークンの処理枠も示した。OpenRouterの掲載ページには、匿名の提供者がプロンプトと応答を保存する一方、学習には利用しないと記されていた。この間、「Claude Code」などのコーディングツールから、数十億トークン規模の企業コードが同モデルに送られたという。
初期の性能評価も話題を呼んだ。ベン・デイビス氏は、DeepSWEベンチマークの10課題において、Ox Alphaの初回試行での正答率が80%だったと公表した。これは「Claude Fable5」の65%、「GPT-5.6-Sol」の52%を上回る。ただし同氏は、サンプル数が少ない点も指摘している。10課題では1問の差でスコアが10ポイント動くためだ。
その後、評価対象を全113課題に広げると、スコアは63%前後まで低下し、「GPT-5.6-Sol」と同水準になったという。公開検証を経た公式リーダーボードのスコアは、現時点では出ていない。Stripeの最高経営責任者(CEO)パトリック・コリソン氏もX(旧Twitter)で、このモデルは非常に印象的だと投稿した。Stripeは8月19日、OpenRouterの買収で合意している。
開発者や研究者は、トークナイザーのフィンガープリント分析やサーバー応答の比較を通じて開発元を追跡した。ジョセフ・W・エルストナー氏は、テスト文字列をOx Alphaに入力したうえで、Z.aiが公開したGLM-5の語彙を追加したところ、95件のプローブすべてで平均誤差0の一致が確認されたと説明した。unclecodeの開発者が作成した「modelprint」による分析でも、9つのインフラプローブのうち6つがGLM-5.3と一致した。
チェタスルア氏は、不正なリクエストを送った際に返るエラー形式が、Z.aiの公式APIドキュメントと同一だったと確認した。誤ったロール値を入力するテストでも、Z.aiのGLMモデルと同様のエラーが出たという。同じ重みを別ホストで提供した場合にはエラー形式が異なっており、同氏はこの推定の信頼度を0.98と評価した。
Z.aiは過去に「Zhipu AI」の名称を使用していた。GLM-5も以前、OpenRouterで「Pony Alpha」として匿名公開されていた経緯があり、GLM-5.3は8月14日にリリースされている。