Andreessen Horowitzは、AIエージェントによるトークン消費が人間の利用を大きく上回っているとの分析を明らかにした。OpenRouterのデータでは、AIエージェント(ボット)のトークン使用量は人間の約5倍に達し、2月以降で約14倍に増加したという。あわせて、法務分野でのAI活用も急速に広がっていると指摘した。
同社は最近、公式サイトで金融・テック分野の注目トレンドとしてこうした分析を公表した。
複数のAIモデルへのアクセスを提供するOpenRouterの直近データによると、ボットによるトークン消費は人間のほぼ5倍だった。さらに、ボットの利用量は2月以降で約14倍に拡大している。
トークンの使われ方にも違いがある。ボットは人間に比べ、キャッシュ済みトークンの利用比率が高く、より多くの処理をこなしている。
ここでいうキャッシュ済みトークンとは、AIが過去に読み込んで処理した内容を再計算せず、保存済みの処理結果を再利用する仕組みに基づくトークンを指す。
AIエージェントが処理するトークンの85%超は、キャッシュ済みプロンプトに基づくものだった。直近のトークン消費増加分の大半も、キャッシュ済みトークンが占めたという。
この差についてAndreessen Horowitzは、人間が「質問と回答」型の対話を中心にAIを使うのに対し、エージェントは目標達成に向けて反復的に試行するよう設計されている点が大きいとみている。
同社によると、エージェントは初回にポリシー、業務手順、コードのガイドラインなど必要な情報を大量に投入する。その後は作業を段階的に進めながら新たな情報を読み込み、結果を生成し、必要な情報をキャッシュに蓄積して再利用する。
Andreessen Horowitzは「キャッシュ済みトークンは初回入力のトークンより大幅に安価で、AIエージェント運用のコスト負担を下げる。一方で、キャッシュを維持するには大容量メモリが必要であり、高帯域幅メモリ(HBM)需要が急増する一因にもなっている。多くのAIエージェントが過去の作業内容を記憶し活用するには、それだけ大きなメモリ容量が求められる。まだ初期段階ではあるが、AIエージェントの急速な普及がメモリ需要を押し上げている」と説明した。
また同社は、AIエージェントの普及によって既存の自動化ツールやワークフロー関連ツールの需要が弱まる可能性にも言及した。Similarwebのデータを引用し、Gumloopを除く自動化ツールのサイトトラフィックが継続的に減少しているとした。
n8n、Zapier、Makeはいずれも大規模言語モデル(LLM)登場前から提供されているサービスで、サイト訪問数ベースでは自動化市場をリードしてきた。ただ、これらサービスの訪問数は直近12週間の累計で2桁減となった。これに対し、2023年にAIネイティブのエージェントビルダーとして登場したGumloopは、唯一成長を示したという。
Andreessen Horowitzは、AI活用における平均的な利用者とパワーユーザーの格差拡大にも注目している。
一部の企業はAI利用量を急速に増やしており、一般的な企業との差が広がっている。OpenAIの最近のデータでもこの傾向が確認された。一般的な企業の出力トークンが約2倍増にとどまる一方、上位10%の企業では使用量が大幅に増えたとしている。
法務分野が、コーディングに続くAI成長の有力領域として浮上している点も見逃せない。コーディングAIの利用動向を見ても、法務分野の伸びが際立っているという。
法務従事者によるCodexの利用は、2026年2月以降で108倍に増加した。この変化がCodex全体の広範な普及によるものかどうかは明確ではないものの、法務業務での変化が他分野より顕著なのは確かだとAndreessen Horowitzは説明した。
リーガルAI市場を狙う主要企業の動きも加速している。Anthropicは5月、Claude for Legalを投入して法務AI市場に参入した。最近ではGoogleも、法律事務所と企業内法務チームを対象とした法務特化版のGemini Enterpriseを公開している。