米国が、ウクライナのドローン技術に関する知的財産(IP)の確保を模索しているとの見方が浮上している。狙いは防衛協力の表面的な拡大よりも、実戦で磨かれた中核技術や生産ノウハウの取り込みにある、との分析だ。
TechRadarが現地時間30日に報じたところによると、専門家の間では、米国がウクライナのドローン開発・生産基盤に直接アクセスする道を探っているとの見方が出ている。こうした動きについては、かつて中国が共同製造契約を通じてボーイングの航空宇宙技術を取り込んだ手法に似ているとの指摘もある。
米国が注目しているのは、機体そのものよりもソフトウェアや実戦運用の技術だという。ウクライナのドローン分野は、ハードウェアに加え、ソフト統合力、電子戦環境での生存性、改良のスピードが高く評価されている。ロシアの強力な妨害電波に対抗しながら、実戦で技術を磨いてきた点が競争力になっているとされる。
特に米国防総省は、操縦者との通信が途絶えた後も、ドローンが自律的に目標を識別して攻撃できるAI活用型の終末誘導技術に関心を示していると伝えられた。GPS信号が遮断された環境でも任務を継続できる航法技術も、確保対象に含まれるという。
専門家は、米国がこうした技術の知的財産権まで押さえた場合、ウクライナ側の継続的な承認や技術支援がなくても、改良、複製、量産を自前で進める基盤を得る可能性があるとみている。戦時協力の枠組みを大きく広げずに、中核技術と産業競争力を取り込む戦略だとの見方だ。
米国の関心は技術だけにとどまらない。生産方式にも注目が集まっている。米防衛産業が少数の高価な精密兵器を中心に運用してきたのに対し、ウクライナは低価格のFPVドローンや長距離攻撃ドローンを年数十万機規模で生産できる分散型の製造体制を築いた。
最近の紛争では、安価なドローンを大量投入する手法が、高価な兵器体系に有効に対抗し得ることが示されたとされる。このため米国でも、従来の調達方式の限界を見直す動きが出ているとの評価がある。
一方で、技術を確保しても、生産能力そのものが直ちに移転されるわけではないとの指摘もある。専門家は、米メーカーが当面、ウクライナの生産施設や戦時下で培われた製造経験に依存する可能性が高いとみる。戦争の中で蓄積された生産速度やサプライチェーン運用の知見は、米国の防衛調達体制が短期間で追随しにくい水準にあるという。
ウクライナは技術協力の拡大も進めている。現在は約20カ国が参加する複数年のドローン協力プログラムを運営しており、6月9日時点で関連協定を6件締結した。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、武器輸出や共同生産、新技術開発を含む少なくとも10件の協力が進められると述べたことがある。
両国の連携は現場レベルにも広がっている。ウクライナは3月、ヨルダンに駐留する米軍基地の防衛支援に向け、迎撃ドローンと専門家チームを派遣した。米国防総省も5月、米軍要員をウクライナに派遣し、実戦でのドローン運用体系を研究すると発表した。
ウクライナ製ドローンは実戦でも成果を上げている。ロシアの石油インフラを狙った攻撃では、同国の石油輸出能力に相当の打撃を与えたと伝えられており、低コストで量産可能なドローンの戦略的価値に改めて注目が集まっている。
ある分析者は「ワシントンの関心は、ウクライナのドローン技術が米国の国家安全保障にとって重要かどうかではなく、その技術に対する統制権をどこまで確保できるかへと移っている」との見方を示した。