Microsoftは7月31日、AIを基幹業務プロセスに組み込んで価値創出を進める「フロンティア・トランスフォーメーション」の最新事例を公表した。CopilotやAIエージェントの導入により、生産性向上やガバナンス強化、コスト削減などの成果が各社で表れているという。
フランスのITコンサルティング企業Atos Groupは、大規模なAIエージェント運用モデルを構築した。54カ国の従業員5万6000人にMicrosoft 365 Copilotを展開し、Foundry、Copilot Studio、Agent 365を活用して1万9000件のAIエージェントを一元運用している。生産性やセキュリティ、コンプライアンス、エージェントガバナンスを単一の運用モデルに集約した。
グローバル会計・コンサルティング企業のEYは、AI活用を全社変革の段階へ拡大している。従業員15万人にMicrosoft 365 Copilotを展開し、生産性を15%向上させた。Microsoft 365 Frontier Suiteの対象も40万人超へ広げており、リードタイムを95%短縮、財務運用コストを37%超削減、手作業の業務量を最大90%削減したとしている。
英国の公的医療サービス機関NHS Englandは、大規模なAI導入を進めている。90のNHS機関、3万人を対象にした試験運用では、1人当たり1日平均43分の事務作業時間を削減した。
米国の公立研究大学University of Kentuckyは、独自のAIガバナンス体系「CATS AIフレームワーク」により、150件超のAIイニシアチブを統合した。7万人超の学生と教職員にAI活用環境を提供している。
冷暖房・温水ソリューション企業Navienは、AIエージェントと自動化によって年間2万8000時間を削減した。Microsoft Fabric、Foundry、Copilot Studio、Microsoft 365 Copilotを基盤に、47カ国にまたがる事業全体でデータとワークフローを連携した結果だ。Azureへの移行により、今後5年間で総所有コスト(TCO)を140万ドル超削減できると見込んでいる。
ドミニカ共和国の民間銀行Banco Popular Dominicanoは、運用リスクのモニタリング範囲を従来の約40%から100%へ拡大した。Copilot StudioとPower Platformで構築した専門エージェントのエコシステム「AURA」を基盤に、AIによるリアルタイムの監視体制を整備した。Microsoftによると、分析能力は7倍に高まり、手作業は70%減少した。現在は毎週約8万件の文書と、1日300件超の事案を処理しているという。
ライフサイエンス分野の専門サービス企業Cactus Life Sciencesは、構造化データ抽出の効率を約35~50%改善した。
グローバルベーカリー企業Grupo Bimboは、Copilot StudioベースのAIエージェントにより、39カ国での監査業務計画に要する時間を20%削減した。承認済みのガイドラインやテンプレートを監査担当者に直接ひも付け、リスク・統制マトリクスの作成時間を数日から数秒へ短縮した。
グローバル製薬企業Novo Nordiskは、Azureベースの推論エージェントを活用し、有望なアイデアを評価できる件数を四半期当たり5~10件から50件超へ増やした。
投資運用ソリューション企業SimCorpは、投資運用プラットフォーム「SimCorp One」の顧客が3年間で134%のROIを実現したと説明した。AzureとFoundryを基盤に金融機関のAI投資ワークフローを支援し、運用効率を45%改善、1人当たり週10時間を削減し、リリース期間を50~60日短縮したとしている。
グローバル自動車企業StellantisはMicrosoftと共同で、製品開発、顧客管理、業務運営全般にわたり100件超のAIイニシアチブを進めている。Azureベースのインフラ近代化により、2029年までにデータセンターの設置面積を60%削減する目標も掲げた。
中国の宝飾小売企業Chow Tai Fookは、400件超のカスタムAIエージェントを運用し、顧客体験と業務効率の高度化を進めている。基幹業務プロセスの効率を70%超高め、コンバージョン率を最大57%改善した。
スーパーマーケットチェーンGrandiose Supermarketsは、Microsoft FoundryとAzure OpenAI Serviceを基盤とするAI買い物アシスタント「GrandChef」によって、コンバージョン率を31%引き上げた。
半導体ウエハー工程装置メーカーのASMは、Microsoft Security Copilotを活用してサイバーレジリエンスと重要知的財産の保護を強化した。脅威調査をAIベースの統合環境へ移行し、インシデント分類にかかる時間を68%短縮した。ノートPC侵害の調査時間も25分から8分へ減らした。
米医療機関St. Luke’s University Health Networkは、Security Copilotを使って複雑な医療セキュリティ環境での脅威対応を統合した。これにより、フィッシング警報の分類業務で月当たり約200時間を削減し、インシデント報告書の作成時間も数時間から数分へ短縮した。
Microsoftのコマーシャルビジネス部門CEO、ジャドソン・アルソフ氏は「組織はエージェント型ワークフローを高度化し、自社固有の知識やデータを戦略的な競争力へと転換している」とコメントした。その上で「Microsoftは今後も、顧客が組織の知的資産を増幅・保護しながら、運用や競争、成長のあり方を変革できるよう支援していく」と述べた。