米上院で審議中のデジタル資産規制法案「クラリティ法」を巡る協議が、大詰めを迎える中で難航している。暗号資産ソフトウェア開発者の保護条項を巡る修正案に対し、ホワイトハウスと業界がそろって反発。主要争点の合意形成は仕切り直しとなった。
ブロックチェーンメディアのCryptoSlateが30日(現地時間)に報じたところによると、民主党は規制当局の人事や倫理条項を巡って一定の折衷案を示したものの、開発者の責任範囲という核心部分では、民主・共和両党に加え、ホワイトハウスと業界の隔たりが埋まっていない。
協議では、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)の欠員問題も焦点となっている。上院民主党トップのチャック・シューマー院内総務は、SECとCFTCそれぞれについて、民主党系の委員候補をホワイトハウスに提示した。
民主党はこれまで、金融規制当局の欠員が長引くことで、議会が想定した超党派の運営体制が損なわれていると主張してきた。
クラリティ法は、デジタル資産市場に関する新たな連邦規制の枠組みを整備し、その執行権限をSECとCFTCに大幅に付与する内容を含む。民主党は、権限が拡大する機関が少数党の委員不在のままルール策定を進めるのは適切でないとの立場だが、ホワイトハウスはこれを協議の前進とはみなさなかった。
ホワイトハウス大統領デジタル資産諮問委員会のパトリック・ウィット事務局長は、民主党案について「法案不成立の責任を回避するための最小限の対応にすぎない」と批判し、「誰もだまされない」と述べた。
最大の争点は、暗号資産ソフトウェア開発者がどこまで法的責任を負うべきかだ。検察関係の2団体は今週、開発者保護条項の修正案を提示したが、議論は収束するどころか、むしろ広がった。
論点は、ソフトウェアを開発しただけの開発者を金融仲介者とみなせるかどうかにある。キャサリン・コルテス・マスト上院議員は、不正資金の追跡や被害資産の回収、犯罪収益の移転に関与した者の訴追に必要な法執行権限は維持すべきだとの立場を崩していない。
その一方で、顧客資産や取引を直接管理していない一般の開発者まで、過度な規制の対象にすべきではないとも強調してきた。
ただ、今回の修正案はどちらの立場も納得させる内容にはならなかった。ホワイトハウスは協議の進展と評価するのは困難だとして距離を置き、ウィット事務局長は「ホワイトハウスと財務省の間での生産的な協議の結果だという主張は事実に反する」と指摘。「今回の提案は、われわれが求めた水準に到底及ばない」と述べた。
業界の反応も冷ややかだった。DeFi Education Fundのアマンダ・トゥミネリCEOは、この修正案について、開発者の実際の役割や技術的な構造を問わず、すべてのソフトウェア開発者を金融仲介者のように扱おうとするものだと批判した。
トゥミネリ氏は「建設的でも真剣でもない提案だ」と述べたうえで、「業界は懸念の解消と法案文言の調整に膨大な時間を費やしてきたが、返ってきたのは、事実上退けられたも同然の案だった」と語った。
協議の核心は、不正金融への対応に必要な法執行権限を維持しつつ、顧客資産や取引を管理しない開発者に金融仲介業者並みの義務を課さない、その均衡点をどう見いだすかにある。交渉団は関連条文の再調整を迫られている。
一方、倫理条項を巡る協議は比較的前進している。民主党のルーベン・ガジェゴ上院議員と共和党のトム・ティリス上院議員は、ホワイトハウスに提示する超党派の修正案を数日以内に取りまとめる見通しだ。
民主党の交渉団は、倫理規定や消費者保護、不正金融対策、利益相反の防止、市場の健全性に関するセーフガードを強化すべきだとの立場を維持しながら、協議を続ける方針だ。市場では、倫理条項を巡る折衷案がホワイトハウスの追加譲歩を引き出せるか、さらにクラリティ法全体の妥結に向けた突破口となるかに関心が集まっている。