写真=Metaのマーク・ザッカーバーグCEO

Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは29日、超知能は一部の機関が独占するのではなく、誰もが利用できる形で広く開放すべきだとの考えを示した。超知能を巡る本質的な論点は、技術の実現そのものではなく、誰がそれを使えるのかにあると訴えた。

ザッカーバーグ氏は米Wall Street Journalへの寄稿「The AI Future Is for Everyone」で、超知能時代に重要なのは性能競争だけではなく、利用の開放度と権力の配分だと主張した。

同氏は、今後数年で人間の能力を上回るAIが、新たな発見や創作、事業立ち上げに活用されるようになると展望した。そのうえでMetaの方向性として、個人の能力強化、自動化にとどまらない発明の促進、権力の均衡という3つの軸を提示し、企業や特定機関が超知能を統制する構図よりも、個人が使える構造が重要だとした。

AI開発者の間で広がる悲観論にも異議を唱えた。AIは危険だから極端な権力集中だけが安全だという発想自体が危ういと指摘し、絶対的な権力が善意によって人類に利益をもたらすと期待しても、歴史的に望ましい結果は生まれてこなかったと述べた。

超知能へのアクセスが一部に限られた場合の不均衡にも言及した。例えば、超知能を活用した法務支援を特定の人だけが使えるなら不公平が生じる一方、誰もが利用できれば司法システムはより公正かつ効率的になり得ると説明した。

リスク管理については、分野ごとに異なる対応が必要だとの考えを示した。サイバーセキュリティ分野では、オープンソースソフトウェアの歴史が示すように、強力なシステムへのアクセスを広げることが長期的な安全性につながる可能性があるとした。一方、生物学的リスクのような機微な領域では、政府や関係機関との連携が有効だとして慎重姿勢を示した。

雇用への影響についても、技術の普及が雇用減少に直結するわけではないとの見方を示した。超知能が広く行き渡れば、少ない資本でも起業しやすくなり、雇用はむしろ増える可能性があるとした。AIは既存業務を置き換えるだけの道具ではなく、新たな事業の創出と生産性向上を後押しする存在だという立場だ。

業界からは反応も出ている。Microsoftのサティア・ナデラCEOはXへの投稿で、ザッカーバーグ氏の寄稿を「優れた論考」と評価し、あらゆる人と組織に力を与える最前線のエコシステム構築は、ともに推進すべき課題だと記した。Metaで超知能研究を率いるアレクサンダー・ワン氏も、同氏の主張に同調した。

今回の発言は、業界で議論が強まるオープンウェイトモデル論争とも重なる。MetaとMicrosoftは先週、NVIDIAなどとともに、米政府にオープンウェイトモデルへの政策支援を求める共同書簡に署名した。OpenAIとAnthropicが当初この書簡に加わらなかったこともあり、議論は続いている。

この点に関連し、Anthropicのダリオ・アモデイCEOは27日、オープンウェイトモデルの禁止を主張したことはないとする文書を公表した。

超知能を巡っては、利用範囲や安全対策、どこまで開放するかを巡る議論が、ビッグテック各社やAI企業の間で広がっている。Metaは今回の寄稿で、超知能競争の焦点を性能そのものから、利用の開放度と権力配分の問題へと改めて置いた。

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