暗号資産業界で、収益が一部の有力プロトコルに集中し、業界再編が加速している。アプリ売上はHyperliquidとPump.funの2プロトコルで約67%を占め、Ethenaを含む上位3プロトコルでは約8割に達する。こうした環境下で、取引所の閉鎖や買収の動きも相次いでいる。
Cointelegraphが29日(現地時間)に報じたところによると、Ark Investのアナリスト、ロレンツォ・バレンテ氏は、投資家の選別が強まるなか、プロダクト・マーケット・フィット(PMF)が弱いプロジェクトや取引所は、資金調達が一段と難しくなっていると分析した。
同氏は、暗号資産業界では収益の集中が急速に進んでいると指摘する。PMFが明確でないプロジェクトや取引所は資金を集めにくく、結果として市場からの退出を迫られ、収益が少数のプロトコルに集まっているという。
その根拠として挙げたのが、暗号資産アプリの売上構成だ。無期限先物取引所のHyperliquidと、ミームコイン発行プラットフォームのPump.funが、暗号資産アプリ全体の売上の約67%を占める。合成ドルのプロトコルEthenaを加えると、上位3プロトコルのシェアは約8割に達する。
バレンテ氏は、こうした流れが今後数カ月でさらに強まるとみている。これに伴い、M&Aや米連邦破産法11条の申請、プロジェクト終了、人材獲得を目的とした買収も増える可能性があるとした。一方で、この構造変化は暗号資産業界にとって前向きな動きだとも述べた。
実際、取引所の事業終了はすでに相次いでいる。BitMEXは9月に取引所を閉鎖すると明らかにした。これに先立ち、取引ペアやデリバティブ契約の上場廃止を進めており、背景として取引需要の低迷を挙げている。
BitMartも、8月26日に取引サービスを終了し、2027年1月から完全停止に向けた手続きに入ると発表した。運営条件や市場環境、今後の戦略方針を見直した結果だとしている。
再編の動きは閉鎖にとどまらず、買収にも広がっている。Bybitは今月初め、インドネシアのデジタル資産企業ノビの過半数株式を取得した。アジアの主要な暗号資産市場の一つとされるインドネシアで、事業基盤の拡大を狙う。
資金の流れもこうした変化と連動している。投資家の選別が進むなか、ユーザー獲得力と収益創出力が実証されたプロトコルはシェアをさらに広げる一方、それ以外の事業者には退出圧力が強まっている。
バレンテ氏は、暗号資産市場が「歴史上最大の統合フェーズ」に入りつつあるとの見方を示した。市場構造の変化と資本配分の選別が進むなか、実質的なPMFを持たないチームや取引所の淘汰が進み、収益の集中も一段と強まっているとしている。