IBMは、生成AIの普及によって自社ソフトウェア事業が打撃を受けるとの見方をけん制した。アービンド・クリシュナ最高経営責任者(CEO)は、AIに置き換わる可能性があるソフトウェアは全体の約2%にすぎず、大半は企業のAI活用を支えるインフラ関連だと説明した。
CNBCが23日(現地時間)に報じた。クリシュナCEOは第2四半期決算発表後のインタビューで、「IBMのソフトウェアの大半は、AIに代替されるアプリケーションではなく、顧客がAIを活用するためのインフラソフトウェアだ」と述べた。
IBMによると、同社ソフトウェアはリアルタイムのデータ活用を支援し、データ管理のコストや複雑さを抑えるほか、ハイブリッドクラウド全体でAIを運用する基盤を提供する。クリシュナCEOは、こうした事業は「AI時代の追い風を受ける」と強調した。
こうした発言の背景には、決算発表後に強まった市場の警戒感がある。OpenAIやAnthropicなど生成AI企業の急成長を受け、既存ソフトウェア企業の収益基盤が揺らぐとの見方が続いている。IBM株は年初来で約30%下落し、ソフトウェア関連ETFのIGVも同期間に約17%下げた。
会社側が今回の失速要因として挙げたのが、メインフレーム事業の鈍化だ。クリシュナCEOは、現行世代のメインフレームシステム「z17」が今四半期に想定を下回ったと説明した。ジム・カバノ最高財務責任者(CFO)は、AIチップ需要の拡大でメモリー価格が上昇し、顧客がサーバーやストレージなどデータセンター機器に予算を優先配分したことが影響したと分析した。
メインフレームの不振はソフトウェア事業にも波及した。IBMは、メインフレーム売上1ドルに対し、ソフトウェア売上が約3ドル発生する構造だという。第2四半期のZメインフレーム売上高は前年同期比42%減、トランザクション処理ソフトウェア売上高も9%減だった。前四半期はそれぞれ48%増、2%増で、伸びは大きく鈍化した。ソフトウェア事業はIBM全社売上高の約45%を占める中核事業でもある。
クリシュナCEOは、AIの影響を受けやすい例として不動産管理ソフトウェア「Tririga」を挙げた。スターバックスが同ソフトウェアに年間約200万ドルを支出している一方、IBMは2027年にサポートを終了する予定だと説明した。「AIで代替され得るとした2%のかなりの部分は、こうした古いソフトウェアだ」とし、「10年以上前の製品はリスクにさらされる可能性がある」と認めた。
一方で、IBMは通期のフリーキャッシュフロー見通しを据え置いた。2026年のフリーキャッシュフローが前年より約10億ドル(約1500億円)増えるとの従来ガイダンスを改めて示した。ただ、ソフトウェア売上高の成長率見通しは、これまでの2桁成長想定から6〜8%へ引き下げた。
クリシュナCEOは、メインフレーム容量の拡大が時間の経過とともにソフトウェア実績の回復につながるとの見方も示した。メインフレーム上で稼働するソフトウェアは、一般にハードウェア増強の後に売上が伸びる傾向があり、回復は来年に表れる可能性があるとした。今四半期にずれ込んだ契約の約75%は、年末までに再び実績へ反映されるとの見通しも明らかにした。
市場では慎重な見方も残る。投資銀行Jefferiesは、据え置いた業績ガイダンスを達成できるか判断するには、遅延した契約が実際の売上につながるかを見極める必要があると評価した。一方で、IBMに対する投資判断は「買い」を維持した。