Mobigenは7月2日、「2026 Mobigen Media Day」で、動的オントロジーを採用したデータ・AIアプリ基盤「Graphio 2.0」を発表した。企業内に分散する多様なデータを単一の業務環境でつなぎ、AIによる文脈理解から判断、実行までを支援するのが特徴だ。あわせて、同社はデータ・AI専門企業への転換を進める方針も示した。
同社によると、Graphio 2.0は、企業内のさまざまなデータを横断的に連携し、AIがそれらを理解・活用できるようにするプラットフォームだ。既存の「Graphio 1.0」のOntology Coreを発展させ、データの変化に応じてオントロジー自体が反応し、継続的に進化する「ダイナミック・オントロジー(Dynamic Ontology)」を適用した。
これにより、AIが単にデータを理解する段階にとどまらず、業務の文脈に基づく判断や実行まで担える新たな業務環境を提供するとしている。
Mobigenは現在、国防、エネルギー・プラントエンジニアリング(EPC)、AI運用(AIOS)、公共分野の4分野をバーティカルAIの重点領域に位置付け、Graphio製品群を軸に事業拡大を進めている。
キム・テス代表は、「AI時代の競争力は、AIモデルそのものよりも、AIが信頼できるデータをどれだけ効果的に活用できるかにかかっている」と説明した。その上で、「蓄積してきたデータ技術とAIの知見を基に、顧客のAI革新を支えるデータ・AI専門企業として持続的に成長していく」と述べた。
同社はAI戦略として、ファウンデーションモデル(FM)そのものの開発ではなく、FMと組み合わせることで相乗効果を生む技術に注力する方針も明らかにした。
キム代表は、「2022年にChatGPTが登場した当時、多くの企業が独自モデル開発に動き、社内でも自社モデルを作るべきではないかという議論があった」と振り返る。その上で、「当社はファウンデーションモデルと結び付く技術への投資を選び、それがオントロジーだった」と語った。
さらに、「2025年にGraphio 1.0を発売し、今回Graphio 2.0を披露した。これを基にAI企業への飛躍に向けてビジョンを見直し、組織改編も進めている。全人員の80%を占める研究開発人材をAI人材へ転換している」とした。
キム代表によると、オントロジーは、AIに対してデータをどう読み解き、どう解釈するかをあらかじめ定義する技術だ。「優秀な子どもに新聞を渡して今日の株価を予測しろと言えば、ある程度の分析はできるかもしれないが、正確な結論を導くのは難しい。どの記事を見るべきか、どの情報と結び付けて考えるべきかを教えるのがオントロジーだ」と説明し、「特定の産業や企業固有の知識を扱う場面で効果が大きい」と述べた。
Graphio 2.0は、データ、オントロジー、アプリ、ガバナンス/協業の4層構造を採用する。中核となるオントロジーレイヤーが分散データをつなぎ、コンテキストを付与する役割を担う。アプリレイヤーは、このオントロジーを基盤に大規模言語モデル(LLM)と連携し、エージェントの登録を支援する。キム代表は「基盤となるデータ構造が変わっても、アプリレイヤーを変更する必要はない」と説明した。
同社は、Graphio 2.0の中核技術として、ハイブリッド検索拡張生成(RAG)とダイナミック・オントロジーも挙げる。
キム代表は、「構造化データを扱う構造化RAG、文書を扱うベクターRAG、知識関係を扱うグラフRAGの3つをオントロジーで統合した」と説明。「文書に明示されていない内容でも、関係性をたどることで推論できる」と述べた。
また、「Graphio 2.0の中核は、ダイナミック・オントロジーを基盤に構築した知識体系をもとに、AIが自律的に行動できる点にある」と強調した。業務ポリシーをオントロジーで定義しておけば、データの変化を検知し、ワークフローを自動実行できるという。
具体例としては、銀行の不正取引検知を挙げた。リアルタイム監視から異常取引の判断基準、その後の対応までをオントロジーで定義しておけば、AIが自ら判断し、実行できるとする。加えて、コードを書かずに画面上の設定だけでAIに知識を伝え、業務を実行させるワークフローツールも提供するとした。
Mobigenは2027年に「Graphio 3.0」の投入も予定している。キム代表は、「Graphio 3.0は、異なる組織間のオントロジー接続に焦点を当てる」と説明した。
その上で、「連合オントロジー技術を通じて、データを直接共有せず、オントロジーレベルで連携・活用できるようになる。セキュリティを維持したまま、組織間のAI協業を可能にする構造だ」と述べた。
適用例としては、ボイスフィッシング対策で複数の銀行が異常取引情報をリアルタイムに連携するケースや、国防分野で複数機関の状況情報を統合し、戦場認識に活用するケースを想定しているという。