カザフスタン中央銀行(NBK)は、改正デジタル資産法に基づき、暗号資産取引所の初ライセンスを地場企業のPax Financeに交付した。これにより同社は、従来はアスタナ国際金融センター(AIFC)に限定されていた枠組みを超え、全国の規制市場で暗号資産関連サービスを提供できるようになる。
2日付のCryptopolitanやKursivなどの現地報道によると、認可を受けたPax Financeは、暗号資産の売買や保管に加え、デジタル資産と法定通貨の交換、支店開設、ビットコインATMの設置も認められる。
NBKは1日の発表で、業界参加者向けのライセンス制度を5月1日に導入したと明らかにした。2日にはTelegramへの投稿で、暗号資産関連企業が合法的に事業を営むには、中央銀行への登録も必要だと改めて示した。
今回の認可は、暗号資産の流通を制度の枠内に取り込もうとするカザフスタンの政策転換を映すものだ。同国は、中国によるマイニング禁止後、一時は有力な暗号資産マイニング拠点として注目を集めた。
その後、マイナーが暗号資産を合法的に交換できるよう取引を認めたが、対象はAIFC内の事業者が運営するプラットフォームに限られていた。
暗号資産は2023年施行の「デジタル資産に関する法」によって正式に位置付けられた一方、実際の取引環境は限定的だった。このため、デジタル資産の取引は個人間取引や未登録の取引所、海外拠点のプラットフォームに流れていた。
当局は2026年に入り、こうした不透明な取引の縮小と、同国を地域の暗号資産ハブとするための制度整備を進めている。
5月上旬にはデジタル資産法が改正され、同月末には中央銀行が暗号資産関連の資金移動を適法化するための下位規定を採択した。改正法は、AIFCに限られていた制度を全国に広げ、暗号資産の流通全般を包括的に規律することに重点を置いている。
今回のライセンス交付は、こうした拡大後の規制市場にプラットフォームが初めて正式参加した事例となる。
制度整備は、違法取引の取り締まり強化と並行して進んでいる。捜査当局は違法な取引活動への摘発を続けており、現地では同種の営業拠点約130カ所を閉鎖したとの情報も公表された。
当局の集計では、これら事業者は2026年初めまでに総額1億2700万ドル(約190億円)規模のデジタル資産取引を処理した。摘発の過程では、500万ドル超の各種資産を押収したという。
政府は、国境を越える暗号資産の移転を通じた資本流出にも警戒を強めている。カシム・ジョマルト・トカエフ大統領は、こうした資金流出に歯止めをかけるよう当局に求めたことがある。
こうした中、カザフスタンは国内での暗号資産決済の合法化も進めている。直接決済で法定通貨として認められるのはテンゲに限られるが、暗号資産保有者が保有資産を即時に法定通貨へ換えられる暗号資産カードを通じ、商品やサービスを購入できるよう制度を整備している。
今回の初認可は、取引や資金移動を規制の枠内に取り込みつつ、決済での活用範囲も広げる方向へ政策が動いていることを示すものといえる。