ビットコイン 写真=Shutterstock

Bitwiseのマット・ホーガン最高投資責任者(CIO)は、Strategyの優先株「STRC」の急落について、ビットコイン市場が底打ちに向かう過程で現れやすいシグナルとの見方を示した。ブロックチェーンメディアのCoinPostが3日、伝えた。ホーガン氏は、市場サイクルは終盤に差し掛かっており、今秋にも新たな上昇相場が始まる可能性があるとみている。

ホーガン氏は、ビットコインが6万ドルを割り込み、2024年以降の安値を付けた局面で、STRCの価格維持メカニズムが機能しにくくなったと指摘した。

STRCは、Strategyが昨年発行した優先株だ。額面100ドル前後での取引を想定しつつ、高い配当利回りを提供する設計となっていた。当初の配当利回りは9%で、価格が額面を下回った場合には0.25~0.50ポイントずつ引き上げ、需要を支える仕組みだった。

この仕組みが機能していた間、STRCの利回りは段階的に11.5%まで上昇し、高利回りかつ低ボラティリティを志向する資金105億ドルを集めた。Strategyはその資金をビットコイン購入に充ててきた。

ただ足元では、ビットコインとStrategy株がそろって下落し、投資家の間では配当の持続性に対する懸念が強まったという。STRCの価格は額面の100ドルから一時75ドルまで下落した。

ホーガン氏は、この水準では実質利回りが15.4%まで上昇すると説明した。そのうえで、価格を再び額面近辺に戻すには、表面利回りを11.5%から15%以上へ大幅に引き上げる必要があり、市場不安を一段と強めかねない状況だったと述べた。

こうした懸念を受け、Strategyは今週月曜日、配当原資を確保するため、ビットコインを定期的に売却できる新たな枠組みを打ち出した。あわせて、額面維持を前提とした配当利回りの自動引き上げメカニズムを廃止し、STRCを変動価格で取引する方式へ転換した。表面利回りも12%に引き上げた。

一方、ホーガン氏は、ビットコイン価格が大きく反発しない限り、STRCが額面まで戻るのは容易ではないとの見方も示した。

今回の調整についてホーガン氏は、構造的な整理局面だと位置付ける。これまで高利回りと低ボラティリティを求める資金がStrategyを通じてビットコイン市場に流入してきたが、ビットコインは本来そうした性格の資産ではないためだ。こうした資産特性と合致しない資金が市場から退出する過程は、底打ち形成に向けて避けられないとしている。

もっとも、Strategyの財務に直ちに強制清算リスクがあるとはみていない。ホーガン氏は、Strategyが496億ドルのビットコインと26億ドルの現金を保有する一方、負債は68億ドル、優先株は155億ドル規模だと分析した。

市場構造の変化にも言及した。ホーガン氏は、これまでStrategyが担ってきた「売らない最大のビットコイン買い手」という役割は、今後変わる可能性があると指摘した。市場環境次第では買い手であると同時に売り手にもなり得るが、大規模な強制売却を招く構造ではなく、前回サイクルほど市場をけん引する存在ではなくなる可能性があるという。

次の需要の担い手としては、機関投資家を挙げた。Morgan Stanleyが独自のビットコイン現物上場投資信託(ETF)を投入し、Wells Fargoが運用モデルポートフォリオにビットコインを組み入れるなど、機関投資家の動きが続いているためだ。

また、テキサス州は米国初の州政府ビットコイン準備金を設立した。ビットコイン現物ETFには、2024年の上場以降、500億ドル超の資金が流入しており、主要な金融アドバイザリー・プラットフォームの多くで関連商品の取り扱いも承認されているという。

同日にはJPMorganも、Strategyのビットコイン売却方針が市場の双方向リスクを高める可能性があると指摘した。下半期の回復には、現金性資産の積み増しと、米国のClarity法案の成立が必要だとの見方を示している。

JPMorganは、現在の現金準備を約17カ月分から24~36カ月分へ引き上げるべきだとした。

ホーガン氏は、底打ちを見極める指標として3点を挙げた。Strategy株が純資産価値(NAV)を下回って取引されているか、暗号資産の恐怖・強欲指数が「極端な恐怖」に入るか、無期限先物の資金調達率がマイナスに転じるか、の3つだ。

同氏は、これらの指標はいずれも、市場心理が強欲から恐怖へと大きく傾く局面が終盤に近づいていることを示すと評価した。「底はこれまでのどの時点よりも近い」と述べ、今秋の上昇相場入りの可能性を改めて強調した。

今回の調整は、Strategyの資金調達構造がビットコイン需要と強く結び付いていることを浮き彫りにした。同時に、需要の中心が高利回り商品を求める資金から機関投資家へ移るのかを占う分岐点にもなっている。

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