写真左から、HyperAccelのパク・ソヨンマネジャー、オム・テソマネジャー(撮影:ソク・デゴン)

【上海=ソク・デゴン】韓国のファブレス各社が「electronica Shanghai 2026」の韓国パビリオンで、中国市場の開拓に向けた戦略を打ち出した。推論チップやAIアクセラレーター、インフラ最適化ソリューションを前面に、自動車、家電、データセンター分野の需要の取り込みを狙う。中国ローカル勢の台頭が続く中、各社はカスタマイズ対応の柔軟性や開発スピード、コスト競争力を訴求した。

2日、韓国パビリオンでは複数の韓国ファブレス企業が中国事業の方向性を示した。各社が中国に注目する最大の理由は市場規模の大きさだ。完成車メーカー、家電メーカー、ロボット企業、データセンター事業者の層が厚く、需要規模も韓国を大きく上回るという。量産化や意思決定のスピードが速い点も、中国市場の魅力として挙げられた。

◆HyperAccel、エッジAIで家電・ロボット・自動車を狙う

HyperAccelは、エッジAI向けのオンデバイスチップを軸に、中国の家電、ロボット、自動車市場の開拓を進める。主力はデータセンター向け推論チップだが、上海ではサーバー製品に加え、年内投入予定のオンデバイスAIチップも前面に押し出した。

同社関係者は「韓国内の大手企業とも家電やロボット分野で協業を進めている。中国は家電メーカーもロボット企業も多く、市場開拓の余地が大きい」と話す。オンデバイスAIの需要が見込める家電、ロボット、自動車といった複数分野を同時に攻める方針だ。中国市場では高帯域幅メモリ(HBM)よりもLPDDRの採用が中心で、その点でも自社チップとの親和性が高いとみている。

今回の出展では、中国に進出する外資系企業や現地企業のAI導入ニーズも確認できたという。一部企業とは、自社チップのテストに向けた協議を進めることで合意しており、今後も商談を継続する。同社関係者は「チップそのものの効率が高く、市場競争力は十分ある。LPDDR中心の中国市場との相性も良い」と述べた。

◆Boss Semiconductor、250TOPS級AIアクセラレーターを提案

Boss Semiconductorは、既存システムに追加実装できるAIアクセラレーターで中国市場の開拓を進める。自動車向け半導体で知られるが、現在はフィジカルAI分野へも事業領域を広げているという。

同社関係者は「顧客が既に使っているシステムに新たな開発を加えなくても、アクセラレーターを追加するだけでAI性能を拡張できるのがコンセプトだ。導入ハードルが低く、中国のOEMやティア1、フィジカルAI関連企業からの引き合いが多い」と説明した。

競争力として挙げるのは、250TOPS級のハイエンドアクセラレーター、チップレット技術、スタートアップならではの柔軟な技術支援だ。同社関係者は「グローバル大手は顧客数が多く、小規模企業が1対1の支援を受けにくい。当社は技術支援も含め、機動的に対応できる」と強調。250TOPS級の大型NPUアクセラレーターに注力する方針を示した。今回展示したのはハイエンド製品だが、中国向けのローエンド製品も含め、顧客ごとの最適化に自信を見せた。

同社にとって、中国での展示会参加は今回が3回目。昨年のAuto Shanghai、今年初めのAuto Beijingに続き、今回はelectronica Shanghaiに出展した。現在は中国の営業担当を置き、現地のOEMやフィジカルAI関連企業と定期的にカンファレンスコールを実施しながら協議を進めている。

同社関係者は「中国は韓国に比べて自動車メーカーをはじめ企業数が多く、需要も明確だ。量産までの期間や意思決定が速く、スピード対応を強みとするスタートアップと相性が良い」と語った。今後もグローバル市場拡大の一環として、中国事業を継続的に強化する考えだ。

◆MangoBoost、LLM最適化ソフトで需要を探る

MangoBoostは、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせたフルスタックのインフラ最適化ソリューションで中国市場に乗り出す。コンピューティングチップの性能向上が進む一方、データ転送や保存、処理の過程で生じるボトルネックがシステム全体の効率を下げているとの問題意識が出発点だという。

今回が初出展で、現地市場の需要を見極める意味合いが強い。会場ではハードウェアサーバーに関する問い合わせも寄せられているが、まずは中国のAIソフトウェアサービス事業者との協業体制を築き、フルスタックインフラ分野での接点拡大を目指す。

同社の強みは、LLMを最適化するソフトウェア「LLMブースター」だ。オープンソースの推論エンジンを極限まで最適化し、同一のハードウェア環境で処理速度を2〜3倍に高めたとしている。同社関係者は「AMDのGPUを含む他社ハードウェアにも対応できる。NVIDIA製品に比べて利用コストを抑えながら、高い性能を引き出せる」と説明。「NVIDIAの供給不足を受けて代替手段を探す顧客にとって、当社ソリューションとの組み合わせは有力な選択肢になる」と述べた。

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