Metaが未使用のAI計算資源を外部顧客に販売するクラウド事業を検討していることが伝わり、1日(現地時間)の株価は8%超上昇した。巨額のAIインフラ投資を収益化する手段になり得るとの見方が広がった。
米CNBCによると、Metaは自社インフラで使い切れていない計算能力を外部顧客向けに販売する案を準備している。
この構想が注目を集めたのは、Metaが進めてきた大規模なAI投資の回収につながる可能性が意識されたためだ。Metaは4月、データセンターの拡張やAIモデルの学習に必要なGPUの確保を進める中で、今年の設備投資として最大1450億ドル(約21兆7500億円)を投じる計画を投資家に示していた。収益化の時期が見えにくいとの懸念があっただけに、余剰資源の販売で売上を生み出せる可能性は、一部の投資家に好感された。
Metaは現在、どのような形でサービスを提供するかを検討しているという。自社インフラ上のAIモデルを利用させるのか、それとも計算資源そのものを販売するのかが論点になっている。前者であればAIプラットフォーム色が強まり、後者であればインフラ型クラウドに近い事業になる。
実現すれば、Metaは新たな競争市場に足を踏み入れることになる。クラウドインフラ市場では、Amazon、Microsoft、Google、CoreWeaveなどが先行している。広告中心の事業構造からAIインフラの販売にまで踏み込めば、ビッグテック間の競争は一段と直接的になる可能性がある。
こうした動きは、AIブーム以降に激化している計算資源の争奪戦とも重なる。OpenAIが2022年にChatGPTを投入して以降、モデル開発企業は計算能力の確保を急いできたが、需要が供給を大きく上回る状況は続いている。Metaもその流れの中でデータセンターを増設し、大規模ワークロードに対応する処理基盤を拡充してきた。
Metaに先んじて、余剰の計算資源の外販に乗り出した企業もある。イーロン・マスク氏のSpaceXは今年、超過分のコンピューティング容量の販売を開始した。SpaceXはAnthropicと月12億5000万ドル規模の契約を結び、Googleとも月9億2000万ドル規模の契約を締結した。Metaにとっては、遊休資源の外部提供が収益事業として成り立ち得ることを示す先行例といえる。
もっとも、MetaのAI事業が明確な優位性を確立したとは言い切れない。Metaは昨年、Scale AIのアレクサンダー・ワン氏の獲得に140億ドル(約2兆1000億円)を投じた。4月にはワン氏の指揮下で最初のモデル「Muse Spark」を公開したが、Metaはこれを最先端モデルではなく「強力な基盤」と位置付けた。AIモデルの競争力強化とクラウド事業の戦略設計を並行して進める課題が残っている。
市場の関心は、Metaが最終的にどの形のサービスを打ち出すのか、そして巨額のAIインフラ投資をどの程度のスピードで売上に結び付けられるのかに集まっている。