ビットコインが6万ドルを割り込み、長期トレンドの節目とされる200週移動平均線近辺まで下落した。押し目買いを期待する見方もあるが、暗号資産マーケットメイカーのウィンターミュートは、現時点で底打ちを判断するのは時期尚早だとの見方を示している。
ブロックチェーンメディアのCoinPostが1日付で報じたところによると、ウィンターミュートは週次レポートで、今回の下落について、全面的なリスクオフというよりも、大型テック株、なかでもAI・半導体関連株の調整と強く連動していると分析した。
ビットコインは一時5万9300ドルまで下落し、足元では5万8000ドル前後で推移していた。
下落率はイーサリアムの方が大きかった。ウィンターミュートによると、イーサリアムは直近で7.9%下落し、1580ドル水準まで値を下げた。
株式市場でも値動きが荒くなった。米ナスダック指数は5営業日続落し、1日の下落率は4.5%に達した。半導体ETFのSMHも1日で7%下落し、半導体関連の比重が高い韓国のKOSPIでは、取引時間中にサーキットブレーカーが発動される場面もあった。
一方で、中小型株中心のラッセル2000指数は1.4%上昇し、米長期国債も買われた。ウィンターミュートは、市場全体でリスク資産が一斉に売られているというより、大型テック株から他資産へ資金が向かう資金ローテーションが進んでいるとみている。
マクロ環境も重しとなった。米国の5月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比4.1%上昇し、2023年以降で最も高い水準を記録した。
これを受けて市場では9月の米利上げ観測が再び強まり、ドルインデックス(DXY)も約1年ぶりの高水準となる101近辺まで上昇した。ドル高は、暗号資産を含むリスク資産全般の下押し要因とされる。
もっとも、北海ブレント原油は直近1週間で8.1%下落し、中東の地政学的緊張が本格化する前の水準に近づいた。ウィンターミュートは、エネルギー価格が落ち着けば、今後のインフレ圧力は一定程度和らぐ可能性があると評価した。
投資家心理もなお底入れを確信できる状況にはない。恐怖・強欲指数は18〜24の「極端な恐怖」圏にとどまり、含み損状態にあるビットコイン供給比率も全体の約50%まで高まったという。
ウィンターミュートは、過去のサイクルではこの水準が最終的な底打ちの2〜3四半期前に現れることが多かったと説明した。一方で、過去の弱気相場では含み損の供給比率が60%前後まで上昇した例もあるとして、一段安の可能性も否定しなかった。
機関投資家の資金フローにも改善はみられない。米国のビットコイン現物ETFでは、直近1週間で約18億ドルが純流出した。
同社はレポートで、暗号資産はもはやリスク資産の中で最も値動きの大きい資産とは言い切れず、足元ではAI関連株がその役割の一部を担っていると分析した。マクロ環境が改善した場合でも、投資資金が暗号資産より先にAI関連銘柄へ向かう可能性があるとしている。
市場ではStrategyの動向にも注目が集まっている。ビットコインの最大保有企業である同社は、優先株STRCの配当利回りを12%に引き上げるとともに、創業以来初めて、条件付きでビットコイン売却を認める新たな資本管理方針を打ち出した。
ウィンターミュートは、これはStrategy株が保有ビットコインの価値を下回って評価されている状況への対応だと解釈した。短期的な注目点としては、今週公表される米雇用指標に加え、ビットコインが200週移動平均線と5万8000ドル近辺を維持できるかを挙げた。下げ幅は大きいものの、市場はなお明確な底打ちシグナルを確認できていないとしている。