バリー氏の売りの軸足は、Tesla単体よりAI・半導体株全体に向かっている。写真=Shutterstock

映画『ビッグショート』のモデルとして知られる投資家マイケル・バリー氏が、Tesla株を再び空売りした。6月30日(現地時間)の有料Substack投稿で、Teslaを416.22ドルで新規に売ったと明らかにした。Nvidiaや半導体ETFにも弱気ポジションを示しており、AI・半導体株全体の過熱を警戒する取引の一環とみられる。

Electrekによると、バリー氏は同日の投稿で、Teslaを含む複数銘柄への新たな空売りを開示した。

今回の投稿内容を見る限り、焦点はTesla単独というより、AI・半導体関連銘柄全般に対する弱気姿勢にある。バリー氏は同日、Caterpillar(CAT)を1060.98ドル、Nvidiaを198.09ドル、iShares Semiconductor ETF(SOXX)を642.80ドル、Applied Materials(AMAT)を729.40ドルで、それぞれ空売りしたと記した。

Teslaはこのリストの最後に登場した。バリー氏は「最後にTeslaを416.22ドルで空売りした。この価格帯に再び戻ってきてうれしい」と投稿した。Tesla株は直前の取引日を379.71ドルで終えた後、30日の取引時間中に約10%上昇しており、下落局面ではなく株価上昇局面で売りを入れた形となる。

もっとも、今回の記述だけでTeslaに大きな方向性の賭けをしたと判断するのは難しい。ポジションの規模は示されておらず、金額や株数、オプションの有無を含む詳細な構造も明らかになっていない。従来のNvidiaやPalantir関連で確認されたような、満期や行使価格が把握できるプットオプションではなく、今回は「株式を空売りした」との記載にとどまっている。

バリー氏のTeslaに対する弱気ポジションは、過去にも実際以上に大きく受け止められたことがある。2021年1~3月期のScion Asset Managementの13F報告書には、Teslaの80万100株に連動するプットオプションが記載され、市場では数億ドル規模の賭けと受け止められた。ただ、当時の数値は規制報告上の名目価値であり、実際の投下資金はプットのプレミアムに限られるため、規模はそれより小さかった。バリー氏はこのポジションを2021年11月までに解消している。

今回、バリー氏がより強く警戒感を示したのは半導体セクターだ。同氏は、フィラデルフィア半導体指数が200日移動平均を65%超上回る歴史的な極端水準にあると主張した。この水準は2000年以降で一度しか見られなかったとしている。株価売上高倍率(PSR)も16倍を超えており、Nvidiaを除外しても割高感は大きくは薄れないと指摘した。

半導体株の調整については、「いまや時間の問題にすぎない」との見方を示した。あわせて、2027年1月満期のiShares Semiconductor ETFのプットオプションを2027年3月物に乗り換え、行使価格も400ドル台前半から半ばに調整したと説明した。QQQの1月物プットオプションは維持したという。

Teslaも、こうした全体の弱気シナリオの中に位置付けられている。バリー氏は昨年12月にも、Teslaの希薄化は不合理で、企業価値も不合理に過大評価されていると批判していた。当時は、昨年に株主が承認した1兆ドル規模のイーロン・マスク氏の報酬パッケージにも言及している。

現時点で市場が確認できる事実は限られる。Teslaを再び空売りした時点と価格は明らかになった一方、実際のポジション規模や詳細な構造は不明なままだ。今回の動きはTesla単独への売りというより、AI・半導体関連の大型株全般に対する弱気ポジション拡大の一部とみるのが自然だ。今後の焦点はTesla株そのものより、バリー氏が警戒する半導体株調整のシナリオが市場でどこまで現実味を帯びるかに移りそうだ。

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