Strategyが最大12億5000万ドル規模のビットコイン売却に対応できる体制を整え、市場で警戒感が広がっている。同社は現時点で売却計画を公表していないが、必要に応じて保有ビットコインを流動化できる枠組みを整えたことで、市場への影響が注目されている。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが6月30日(現地時間)に報じたところによると、著名トレーダーのピーター・ブラント氏は、この措置について「実際に売却が始まれば、それは最初の売りにすぎない」と指摘し、追加売却の可能性に警鐘を鳴らした。
今回の焦点は、Strategyが直ちにビットコインを売却すると表明したわけではない点にある。一方で、新たな資本構成の下で取締役会が必要に応じて保有分の一部を売却できる余地を残したことで、マイケル・セイラー氏が掲げてきた「ビットコインは売らない」との姿勢は、もはや絶対的な前提ではないとの見方も出ている。
ブラント氏は、その背景として財務環境の悪化を挙げた。2026年に入ってビットコイン価格が下落し、Strategyが保有する84万7000BTCの評価額が大きく目減りしたほか、平均取得単価が足元の相場を上回っているため、含み損は143億ドルを超えると分析した。
株式市場での評価も重荷となっている。Strategy株は純資産価値(NAV)に対して約38%のディスカウントで取引され、時価総額は309億ドルまで縮小したという。強気相場でビットコインを積み増す過程で膨らんだ負債もなお重い。
とりわけ、STRDの利回りが18%まで上昇している点については、資金調達コストの上昇と債務負担の重さを映す指標だとみている。
ブラント氏は、Strategyが今回確保した売却手段を実際に行使したとしても、12億5000万ドル規模の売却は短期的な資金確保の第一段階にとどまる可能性があるとみる。ビットコイン価格が低水準で長引けば、追加の資産売却が続き、清算局面が長期化する恐れがあるとの見通しを示した。
市場環境も強気には傾いていない。ビットコインは現在5万8922ドル近辺で推移し、200週移動平均線を下回るなど、テクニカル面でも弱さが目立つ。投資家心理も「極端な恐怖」圏に近づいているとの分析が出ている。
ブラント氏は5万8000ドルを重要な支持線として挙げた。この水準を下回れば、Strategyが整えた売却枠組みが単なる安全弁ではなく、実際の大規模売りを招くきっかけになり得ると説明した。
さらに、夏場のように市場流動性が落ちる局面では、大口売りが価格変動を一段と大きくする可能性があるとも警告した。
市場の関心は、実際に売却が行われるかどうかだけではない。Strategyが必要時に保有ビットコインを売却できる体制を整えたことで、今後の債務返済負担とビットコイン相場の動向次第では、今回の措置が一時的な対応にとどまるのか、それとも長期的な売却局面の入り口となるのかが注視されている。