Tether顧問のガボール・グルバチス氏は、ビットコインが過去最高値を更新できずにいる主因について、技術面の問題ではなく、暗号資産業界に根強い投機偏重の市場構造にあるとの見方を示した。機関投資家の資金が流入しても、長期資金として市場に定着しにくい状況が続いているという。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが6月30日付で伝えた。
グルバチス氏は、現在の市場ではビットコインの価値が実質的に業界内部で流出していると指摘した。暗号資産市場の多くが、インフラ整備や流通拡大よりも、短期的な注目集めや過熱を促す脆弱なデリバティブ商品に偏っており、エコシステム全体も長期的な価値の蓄積ではなく、短期の投機需要に左右されていると分析した。
また、現在の市場と2017年以前のビットコインコミュニティは性格が大きく異なるとも述べた。初期のエコシステムは、サイファーパンクの原則や「ハードマネー」の発想、資本市場に精通した参加者に支えられていたが、足元ではそうした色合いが大きく薄れているという。
今回の相場局面では、ビットコインと伝統資産の値動きの差も鮮明になっている。S&P500、ナスダック100連動ETFのQQQ、金が最高値更新を続ける一方、ビットコインはなお過去最高値に届いていない。グルバチス氏は、機関投資家マネーが流入しても、市場内の過度な投機的ノイズによって長期的な価値として定着していないとみている。
需給面では売り圧力も重しとなっている。報道によると、「機関投資家の吸収 対 初期保有者の分配」モデルに基づく先週の純資金流入は、今サイクルで最も弱い水準を記録した。この指標の累積残高は、2025年10月の高値以降、マイナス15万4,169BTCまで低下しており、機関需要だけでは既存保有者の売りを十分に吸収できていないことを示した。
もっとも、グルバチス氏はビットコインの長期的な競争力そのものを否定してはいない。問題の本質は技術ではなく、その上で投機を繰り返す市場参加者の質にあると強調した。ビットコインのネットワークや資産特性よりも、市場構造やエコシステム内の資金配分が重荷になっているとの認識だ。
その上で市場の焦点は、機関資金の流入額そのものではなく、流入した資金がエコシステム内にどれだけ長くとどまるかに移りつつあるとした。供給負担の緩和や投機的ノイズの沈静化が進まなければ、ビットコインが伝統資産と異なる値動きを続ける可能性がある。一方で、市場の関心が再びインフラや流通、実物連動の領域に向かえば、現在の停滞局面が変わる余地もあるとU.Todayは報じた。