ブロックチェーンとトークン化インフラの活用が金融分野で広がっていることを示す事例。写真=Reve AI

ビットコインに厳しい見方を示してきた金融・政治の有力者が、ブロックチェーンやデジタル資産関連事業への関与を相次いで深めている。表向きには暗号資産への懐疑的な姿勢を維持しながら、実務ではトークン化やブロックチェーン技術の活用を広げる動きが目立ってきた。

ブロックチェーン専門メディアのCointelegraphは6月29日(現地時間)、こうした例としてBlackRock、JP Morgan、ピーター・シフ氏、ヌリエル・ルービニ氏、ドナルド・トランプ米大統領を挙げた。

象徴的な例が、BlackRockのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)だ。フィンク氏は2017年、ビットコインをマネーロンダリングに利用されるものだと批判していたが、その後は姿勢を転換し、ビットコインやトークン化に前向きな発言を重ねている。

BlackRockは米国でビットコイン現物ETFを運用し、機関投資家の主要な投資窓口の1つとなった。フィンク氏も最近の株主向け書簡や寄稿で、資産のトークン化が金融システムを根本から変える可能性があると強調している。

JP Morganのジェイミー・ダイモンCEOは、現在も代表的なビットコイン懐疑派として知られる。過去にはビットコインを「詐欺」と呼び、投資家を「愚かだ」と評するなど、否定的な見解を繰り返してきた。

その一方で、JP Morganはブロックチェーン分野での取り組みを着実に進めてきた。Onyx事業部を拡大し、JPM Coinを展開したほか、ブロックチェーンベースの決済、トークン化担保プラットフォーム、暗号資産ウォレット連携技術の開発も続けている。公の発言とは対照的に、デジタル資産インフラへの投資を積み上げてきた構図だ。

金の強気論者として知られるピーター・シフ氏も、ブロックチェーン事業に踏み出した。シフ氏はビットコインをバブルや「より愚かな者理論」の典型だと批判してきたが、昨年12月にはトークン化された金のプラットフォーム「T-Gold.com」を立ち上げた。

同サービスは、現物の金や銀をブロックチェーン上のトークンとして発行し、売買できるように設計されている。Cointelegraphは、シフ氏が暗号資産そのものを受け入れたというより、ブロックチェーン技術を活用しつつ、裏付け資産を金に据える戦略を選んだと分析した。

暗号資産批判で知られるヌリエル・ルービニ氏も、足元ではトークン化市場に乗り出している。ルービニ氏は長年、暗号資産の多くを投機的資産だと批判してきたが、Atlas Capitalと共同でトークン化商品「USAFi」を発表した。本人は、自らが提唱する「テクノドル」構想を具体化する商品だと説明している。

もっとも、ルービニ氏は今回の取り組みが従来の立場の転換を意味するものではないと強調する。無担保の暗号資産には引き続き懐疑的で、多くの暗号資産が過度な投機、脆弱なガバナンス、利益相反、投資家保護の不備といった問題を抱えていると指摘した。

ドナルド・トランプ米大統領も、Cointelegraphが挙げた代表例の1人だ。トランプ氏はかつて、ビットコインがドル覇権を脅かしかねないと批判していたが、その後は自らを「クリプト大統領」と称し、デジタル資産業界への支援を打ち出している。

トランプ氏はNFTを発行したほか、自身と配偶者の名前を冠したミームコインも投入した。各種報道によると、トランプ氏は2024年以降、複数の暗号資産事業を通じて約23億ドル(約3450億円)を超える収益を得たと推計されている。

Cointelegraphは、これらの事例はいずれも同じ方向性を示しながら、アプローチは異なるとみている。BlackRockはビットコインとトークン化を既存金融の延長線上で受け入れ、JP Morganとルービニ氏は批判的な姿勢を保ちながらも、デジタル資産インフラやトークン化商品で事業領域を広げたと整理した。

また、ピーター・シフ氏はブロックチェーンを金の流通インフラとして活用し、トランプ氏は政治と事業の両面で暗号資産を利用したと分析した。

Cointelegraphは、公然と暗号資産を批判してきた人物であっても、実務ではブロックチェーンやデジタル資産を活用するケースが増えていると指摘する。その動きが認識の変化によるものか、新たな市場機会を見据えた戦略なのかは、今後も見極めが必要だとしている。

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