OpenAIは、AIコーディングエージェント「Codex」の利用枠が想定より早く消費されるとの報告を受け、原因調査を進めている。社内に対策室を設けてログ解析を進める一方、全ユーザーを対象に利用上限をリセットする措置も講じた。
Business Insiderが29日(米国時間)に報じたところによると、OpenAIは一部ユーザーで、実際の作業量に比べてCodexの使用量が過大に計上される現象を把握し、原因を調べている。
OpenAIのステータスページでも、一部アカウントでCodexの利用上限が「想定より早く消費されている」と案内した。不正利用防止システムが、正規ユーザーに誤ってレート制限を適用した可能性も原因の1つとして見ている。
Codexのエンジニアリング責任者ティボ・ソティオは同日、X(旧Twitter)への投稿で、開発チームがワールーム体制でログを分析していると明らかにした。日曜日も対策室でログを確認し、一部ユーザーの利用枠が異常なペースで減った理由を調査していると説明し、問題を深刻に受け止めて原因究明を進める考えを示した。
OpenAIは調査と並行して、全ユーザーのCodex利用上限をリセットした。ソティオは、調査中の対応として全ユーザーの上限を強制的に初期化したと説明している。ユーザーによっては、もともと上限を自らリセットできる回数が最大3回設定されていたという。
ユーザーの不満は先週末から急速に広がった。複数の開発者は、同程度の作業であるにもかかわらず、従来よりはるかに早いペースで週次の利用枠を使い切ったと訴えている。
月額200ドルのプランを利用するあるソフトウェアエンジニアは、「普段は1週間集中的に使ってようやく上限に達するが、最近は1日で週次の利用枠をすべて使い切った」と話した。
Codexの使用量は、AIが実際のコーディング作業に投入した計算資源を基準に算定される。ダッシュボードには残量がパーセンテージで表示され、複雑な作業ほど計算資源の消費が増えるため、利用枠の減りも速くなる。
OpenAIは現在、実際に計算量が増えたのか、アカウント制御のロジックに不具合があったのかを重点的に調べている。影響範囲は限定的とみられるが、状況を継続的に監視しているという。
一方、一部ユーザーからは、これまで実質的に無制限に近い感覚で使えていた環境が、突然1日で週次枠を使い切る水準に変わったとして、不便を訴える声も出ている。
今回の問題は、AIサービス全般で利用量管理の厳格化が進む流れとも重なる。Business Insiderは、ユーザー急増を受けて、主要各社が計算資源の負荷を抑えるため、利用上限を段階的に見直していると伝えた。
Anthropicも3月、ピーク時間帯におけるClaudeの利用上限を調整した。一部の開発者は、上限設定の影響で業務スケジュールの見直しを迫られているという。
Codexを巡る今回の混乱は、今月初めに起きたOpenAIのサービス障害に続き、同社の運用面の課題をあらためて浮き彫りにした格好だ。Anthropicも過去に類似の障害を経験しており、当時はAIコーディングツールが使えず、手作業でコードを書くしかなかったとして不満が上がっていた。
業界では、AIコーディングツールへの開発者の依存度が急速に高まるなか、今後は性能だけでなく、利用量の算定方法やサービスの安定性も重要な競争要素になるとの見方が出ている。