Appleが今後、MacBook ProやiPad Pro、iMac向けに、従来より広い色域に対応するOLEDディスプレイを採用する可能性が出てきた。OLED搭載製品の拡大に加え、色再現性も引き上げることで、次世代ディスプレイの競争力強化を狙うとの見方が広がっている。
米ITメディアの9to5Macが29日(米国時間)に報じたところによると、市場調査会社TrendForceは、AppleがMacBook ProやiPad Pro、iMacに、BT.2020色域の95%を再現できるOLEDパネルを段階的に導入する計画だと分析した。BT.2020は、Appleの主要製品で広く採用されているP3よりも広い色域を持つ国際映像規格だ。
今回のポイントは、AppleのOLED戦略が単なるパネルの置き換えにとどまらず、画質の基準そのものを引き上げる可能性がある点にある。TrendForceは、主要なOLED製品群全体で、BT.2020の95%水準の色再現性を備えたパネルの採用が徐々に広がるとみている。
Mac製品群のOLED移行時期も、徐々に具体性を増してきた。業界では、Appleが早ければ今年にも、OLEDを搭載した新たなMacBook ProまたはMacBook Ultraを発表する可能性があるとの見方が出ている。
iMacへのOLED採用は、それより数年先になる可能性がある。MacBookとiMacのOLED移行観測は数年前から続いているが、足元ではノートPC製品群を中心に、より具体的なサプライチェーン情報が相次いでいるという。
Appleはすでに、iPhoneやiPad Pro、Apple Watch、Apple Vision ProにOLEDディスプレイを採用している。Mac製品群にまでOLEDが広がれば、主要ハードウェアの大半がOLEDベースへ移行することになる。
TrendForceは、こうした動きについて、AppleがOLEDの適用範囲を広げると同時に、色表現の水準も一段引き上げる戦略を進めていると分析した。
背景には、OLED材料技術の進展がある。TrendForceによると、パネルメーカーは、高純度の色表現に加え、電力効率の向上と寿命改善を同時に実現できる次世代OLED材料の開発を進めている。Appleの高い要求水準が、関連技術の開発を加速させているという。
サプライチェーンを巡る競争も激しくなっている。Samsung Displayは、次世代OLED材料と電界発光量子ドット(EL-QD)技術を並行して開発しているとされる。中国のパネル各社も、新たな発光構造の採用や国産材料比率の引き上げで対応を進めているという。
その結果、OLED市場の競争軸は単純な生産量拡大から、色再現性や材料技術、発光構造を巡る争いへと移りつつある。
TrendForceは今後、OLEDを巡る競争が、効率や寿命の改善だけでなく、コストや生産性、知的財産権(IP)リスクまで含めた、持続可能な材料プラットフォームの確保へ広がると予測している。
Appleにとっても、多様な供給企業の中から自社基準を満たす技術を選択できる余地が広がる可能性がある。業界では、今後のOLED MacやiPadの差別化要素が、解像度や輝度に加え、色域にも広がるとみている。
また、Appleの次世代ディスプレイ戦略は、パネル性能競争にとどまらず、材料供給網や製造技術の進展にも波及する可能性がある。市場では、Appleが実際の製品発表で、どの水準の色再現性を新たな基準として示すのかに注目が集まっている。