GNCが物流倉庫にAIドローンを導入し、在庫精度の改善と未出荷注文の削減につなげた。反復的な棚卸し作業をドローンが担うことで、従業員は在庫差異の確認や補正といった業務に注力できるようになった。
Business Insiderが6月26日(現地時間)に報じたところによると、GNCは米インディアナ州ホワイツタウンの物流センターで、Corvus RoboticsのAIドローン4機を運用している。
ドローンは倉庫内の通路を飛行し、2000以上のパレットに積まれた箱の数量や保管位置を自動で確認する。これによりGNCは、約25万平方フィートの在庫エリアについて、全面棚卸しの頻度を四半期ごとから毎月に引き上げた。
GNCの流通担当副社長ビル・モンク氏は、「システム上は在庫ありと表示されていても、実際に棚になければ欠品につながる」と説明。その上で、「在庫の所在が把握できなければ顧客に出荷できない」と述べた。
導入効果は物流指標にも表れている。GNCによると、導入前は1日当たり数百件に上っていた未出荷注文が、現在は約98件まで減った。
現場の業務も変わった。従来は従業員が倉庫内を回って箱を1つずつ数えていたが、現在はドローンが検出した在庫不一致の確認や修正に重点を移している。
Corvus Roboticsの創業者兼CEO、ジャッキー・ウー氏によると、ドローンは1回当たり約25〜30分飛行し、指定エリアを点検する。「ドローンには、自律飛行やデータ収集を担うフィジカルAIを活用している。AIは顧客の在庫データ分析やエラー処理も支援する」としている。
ドローンが撮影した写真や動画は、棚卸しに加え、誤配置された荷物や棚からはみ出したパレット、床に落ちた箱の発見にも活用されている。
人員配置にも変化があった。GNCは導入前、棚卸し要員として約20人を配置していたが、反復的な計数業務は採用・定着が難しかったという。現在は多くの従業員をカスタマーサービスやピッキングエリアの在庫管理に振り向け、在庫エリアでは1〜2人がドローン収集データの正確性を定期的に検証している。
モンク氏は、「ドローンが正確と判定したデータの約2%は、人が再確認する運用にしている」と説明した。
現場の受け止めもおおむね良好だ。GNCの在庫管理担当タミー・ラチャー氏は、「以前は1日中箱を数える作業が中心だったが、いまはドローンが計数し、私たちは原因を調べている」とした上で、「身体的な負担は大きく減った」と語った。
AIが人の入力ミスを見つけた事例もあった。ドローンはある場所の箱数を600個と認識した一方、社内システムには60個と登録されていた。当初はドローン側の誤認が疑われたが、調査の結果、従業員が在庫入力時に0を1桁入力し漏らしていた単純ミスだったことが分かった。
一方で、運用上の制約もある。GNCの倉庫内在庫エリアは通路幅が約70インチと狭く、ドローンの飛行余地が限られる。特にパレットを包むビニールが緩んでいると回転翼に絡み、機体が落下するおそれがあるため、作業後にビニールを完全に取り除き、運用前に通路の状態を点検する手順を設けている。
現在、ドローンの活用は未開封の箱を積んだ在庫エリアに限られる。開封済みの箱にどれだけ残っているかまでは、直接確認しにくいためだ。ただしCorvus Roboticsは、ソフトウェアを使うことで、開封済み箱の残数も一定水準で推定できるとしている。
GNCは、AIドローン導入の最大の成果として、問題発見までの時間短縮を挙げる。モンク氏は、「在庫エラーを四半期や半期の間見つけられなければ、解決にも時間がかかる」と指摘し、「AIドローンは問題をはるかに早く見つけ、物流運営の効率を大きく高めている」と述べた。