ビットコインが、長期トレンドの重要な節目とされる200週移動平均線を下回った。現物ETFからの大幅な資金流出に加え、米金利の高止まりも重なり、市場では6万2000ドル台を早期に回復できるかが焦点となっている。
CryptoSlateによると、28日現在のビットコインは直近24時間で1.68%、1週間で7.06%下落し、5万9000ドル台で推移している。
注目されているのは200週移動平均線だ。Newhedgeの集計では同水準は6万2383ドルで、足元の価格はこれを約3000ドル下回る。過去の急落局面でも、この水準を明確に割り込む局面は長続きしなかったとされ、長期保有者とサイクルトレーダーの双方が重視する代表的なストレス指標の一つとみられている。
目先の焦点は、ビットコインが6万2000ドル台前半を速やかに回復できるかどうかだ。この水準を取り戻せば、強制清算やETFからの資金流出に伴う売り圧力で一時的に下押しされた後の反発と解釈しやすい。逆に下回る状態が長引けば、これまでの支持線が抵抗線に転じる可能性が高まる。
今回の下落は、一時的なテクニカル要因だけでは説明しにくい。Farside Investorsによると、ビットコイン現物ETFは24日に4億6900万ドル、25日に6億9100万ドル、26日に4億4400万ドルの純流出を記録した。3営業日合計では約16億1000万ドルに達する。機関投資家の主要な資金流入経路であるETFから資金が流出するなか、200週線割れは需給悪化を映すシグナルとなっている。
ビットコインが200週線近辺で売りを吸収し、早期に同線を回復できれば、一時的な投げ売りにとどまる可能性がある。一方で、ETFの純流出が続いたまま200週線を下回って推移すれば、より低い価格帯が新たな取引レンジとして定着する余地もある。
もっとも、中長期のトレンド回復にはなお距離がある。Barchartのテクニカル指標では、ビットコインの200日単純移動平均は8万4165ドルと、現物価格を大きく上回る。200週線の回復はあくまで初期段階にすぎず、より広いトレンド改善を示すには200日線の回復が必要になる。
マクロ環境も逆風だ。米連邦準備制度理事会(FRB)は17日、政策金利の誘導目標レンジを3.50%〜3.75%に据え置き、インフレ率は依然として高いとの認識を示した。2026年の政策金利見通しの中央値は3.8%。5月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が17万2000人増え、失業率は4.3%だった。雇用の底堅さとインフレの高止まりが続けば、リスク資産を支える利下げ期待がすぐに強まるとは限らない。
こうした状況から、市場では単純なテクニカル反発よりも、実需回復の有無を見極める局面に入ったとの見方が出ている。200週線近辺で売り圧力が一巡し、価格が素早く戻れば、下落は清算主導の一時的な調整だったと受け止められる。一方、ETF資金流出が続くなかで200週線割れが長引けば、より低い水準へのレンジ切り下げが意識されやすい。
足元では200週線との乖離がまだ大きくないことから、6万2000ドル台前半の回復に加え、ETFの純流出縮小や純流入への転換が確認できれば、今回の下落は構造的な下落局面入りではなく、短期的なリセットだったとの解釈も成り立つ。
市場の判断基準は明確だ。ビットコインはすでに弱気相場の節目とされる水準を下回っており、今後は6万2000ドル台をどれだけ早く回復できるか、そしてETFの資金フローが改善に向かうかが、この水準を再び底値圏とできるか、それとも一段低いレンジの上限として意識されるかを左右しそうだ。