米共和党のアンナ・パウリナ・ルナ下院議員の修正案草案に、AnthropicのAIチャットボット「Claude」の応答を示す「Claude responded:」との記載が残っていたことが分かり、AIの利用実態を巡って波紋が広がっている。ルナ議員側の説明も短時間で変わり、当初は草案文言の修正への利用を認めた後、要約の校正(スペルチェックと文法チェック)に限ったと釈明した。
米ITメディアのEngadgetが25日(現地時間)に報じた。問題の文言は、Claudeとのやり取りを文書に貼り付ける過程で、そのまま残った可能性があるという。
批判が広がる中、ルナ議員はX(旧Twitter)への投稿で、スタッフが草案の文言を直す過程でAIを使ったと認めた。草案テキストの修正にAIを使ったものの、編集を完了できなかったと説明し、「多くのスタッフがAIを使っている」とも述べた。この投稿はその後、削除された。
ルナ議員は続く投稿で説明を補足し、AIを使ったのは法案本文ではなく、修正案の要約のスペルチェックと文法チェックだったと主張した。さらに「いかなる法案もAIで作成されることはない」とした上で、問題の画面は法案のAI要約を校正するための資料だったと説明した。
争点となっているのは、AIの利用が単なる校正にとどまっていたのか、それとも法案文案の作成過程にまで及んでいたのかという点だ。「Claude responded:」という表示は、一般的な校正機能の痕跡というより、チャットボットとの応答を文書に移した際に残る文言とも受け取れるためだ。ルナ議員自身も当初は草案テキストの修正への利用を認めており、その後に「法案本文ではない」と説明を絞り込んだ格好となった。
その後の投稿でルナ議員は、こうした疑惑を誰が持ち出したのかと反発する場面もあった。一方、議員側の説明は短時間で複数回変化している。当初はAI利用そのものを大きな問題ではないとする姿勢を示したが、その後は要約と校正に限定する形で説明を修正した。
今回の件は、生成AIが政治分野の文書作成やレビュー工程にどこまで入り込んでいるかを示す事例として受け止められている。ルナ議員が「多くのスタッフがAIを使っている」と述べた点は、議員事務所の実務でAIツールの活用が広がっている可能性を示唆する。一方で、法案草案のような公的文書にチャットボットの痕跡が残れば、作成責任や確認手順を巡る議論が広がる可能性がある。
とりわけ、ルナ議員が最後に「いかなる法案もAIで作成されることはない」と強調したことは、AI活用と最終的な作成責任を切り分けて説明しようとする姿勢を示したものといえる。ただ、今回のケースでは草案に残った文言そのものが、そうした説明の説得力を弱めた。スペルチェックや文法チェックを超えて、チャットボットが文案作業にどの程度関与したのかは、なお論点として残っている。
ルナ議員はXへの投稿で、次のようにも述べていた。
「ええ、私のスタッフは修正案の要約(SUMMARY)のスペルチェックと文法チェックにAIを使いました。修正案本文そのものには使っていません。驚くようなことではありません。多くのスタッフが使っています。必ずダブルチェックし、より徹底するよう指示しています。いったい誰がこんな記事を流したのですか。ちなみにClaudeは好きですが、Grokの方がはるかに……」