ビットコイン安だけでは説明しきれない下落となった。写真=Shutterstock

マイケル・セイラー氏が率いるStrategyの普通株と優先株が急落し、そろって52週安値を更新した。ビットコイン相場の下落に加え、Rosen Law Firmが同社を巡る調査を公表したことが売り材料となり、優先株を軸とする資金調達モデルの持続性に市場の視線が集まっている。

Bitcoin MagazineやDecryptなどによると、6月25日(現地時間)の取引で、Strategyの普通株MSTRは一時9%超下落し、2024年3月以来の安値圏に沈んだ。終値は94.13ドルで前日比9.35%安。取引時間中には92.28ドルまで下げ、52週安値を更新した。優先株STRCも7.41%安の80.84ドルで引け、額面の100ドルを大きく下回った。

下げは短期間に集中している。MSTRは週初には117ドルを上回っていたが、その後85ドルまで下落した。直近5営業日で約30%、直近1カ月では約36%下落しており、同期間のビットコイン下落率18.5%を大きく上回る。

背景にはビットコイン安だけでなく、証券関連の調査公表もある。Rosen Law Firmは、Strategyを巡る潜在的な証券詐欺関連請求について調査していると明らかにした。同事務所は、同社が投資家に誤解を与えかねない重要情報を提供した可能性があると主張している。調査対象はMSTRのほか、STRF、STRC、STRK、STRDなど、同社が発行した主要証券全般に及ぶとしている。

市場でとりわけ警戒されているのが、優先株の仕組みだ。STRCは、Strategyがビットコインの追加購入資金を調達するうえで中核としてきた配当型優先株である。ただ、市場価格は足元で額面を大きく下回っており、従来と同じ手法での資金調達が難しくなるとの懸念が強まっている。

配当負担も急速に膨らんでいる。Strategyは直近6カ月でSTRCの発行を拡大し、年間の配当支払い義務は2026年初めの約3億ドルから12億ドルへと4倍に増えた。一方、同期間の現金保有は約38%減少しており、資金調達コストの上昇と手元資金のクッション低下を懸念する見方も出ている。

保有するビットコイン自体も重荷になっている。Strategyは現在、約84万7363BTCを保有する企業として世界最大のビットコイン保有者とされる。ただ、ビットコインが取引時間中に6万ドルを割り込む場面があり、2024年以降に取得した保有分の大半が含み損圏に入った。含み損は約106億ドルと推計されている。

対応を巡っては市場の見方が分かれている。オンチェーン分析企業CryptoQuantは、Strategyに対し、ビットコインの追加購入をいったん停止し、約28億ドル規模の現金を再確保したうえで買い増しを再開するよう提言した。一方で、セイラー氏が大量のビットコインを売却し、財務の安定を優先すべきだとの声もある。ヘッジファンドマネジャーのトラビス・クリング氏は、一部の大口保有者が同社の資本構造を揺さぶる目的で価格下落を誘導している可能性にも言及した。

もっとも、Strategyはすでに買い入れペースを落とし始めている。先週の追加購入は520BTCにとどまり、投じた金額も約3500万ドルだった。直近で調達した3億3550万ドルのうち3億ドルを現金として確保し、手元資金は約14億ドルまで積み上がった。ただ、こうした現金の積み増し後もSTRCの軟調は続いており、流動性の確保だけでは構造的な懸念を打ち消せないとの見方が広がっている。

今後の焦点は、ビットコイン相場の持ち直しと、Rosen Law Firmによる調査の行方だ。市場では、調査が実際の訴訟に発展するかに加え、Strategyが優先株発行を基盤とするビットコイン購入戦略を維持できるかどうかが、株価と資金調達力を左右するとの見方が強い。

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